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動物 雑感、考察

キジバト

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By: nubobo

「コケコッコー」といえば、ニワトリの鳴き声である。

これは誰に聞いてみても、
ニワトリの鳴き声は「コケコッコー」だと言うだろう。
日本全国、どこに行ってもニワトリの鳴き声は
「コケコッコー」で、通用する。

だが面白いもので、これが日本以外ということになると、
「コケコッコー」は、全く通用しなくなる。
ここで各国のニワトリの鳴き声を挙げてみよう。

・コッカドゥードゥルドゥー(アメリカ)
・クィクィリクィ(スペイン)
・コックェリコ(フランス)
・トゥイートゥイートゥイー(イギリス)
・コッキオー(韓国)
・ココリコ(イタリア)
・クカレクー(ロシア)
・クックルーユ(インドネシア)
・コーコーケー(中国)

どうだろうか?
国によっては、結構似通っているところもある。
大方の国は「コ」か「ク」という言葉から始まっている辺り、
どこの国の人間にとっても、ニワトリの鳴き声は
同じように聞こえているということだろう。
挙げた国の中で、このパターンを踏襲していないイギリスは、
本当に同じニワトリの鳴き声を聞いているのか、
心配になってくる。
その他にも、お笑いのコンビ名の様なイタリアの鳴き声や、
え?ククレカレー?と聞き返してしまいそうな
ロシアの鳴き声をなども、日本人はそれを
ニワトリと結びつけることは出来ないだろう。
アメリカとイギリスなど、同じ英語を使う国同士なのに、
同じニワトリの鳴き声の表現がここまで違うというのは、
かなり興味深い事実である。

このようにニワトリの鳴き声は、国単位で統一されているものの、
それ以上の大きな単位、
例えばアジア、ヨーロッパなどといった括りで考えた際、
全く統一性が無くなってしまう。

こういう「国」単位で統一されている、
動物の鳴き声というのは結構多い。
犬の「ワンワン」や、猫の「ニャーニャー」も、
国単位では統一の認識を持っているものの、
それ以上の単位になると、全く違った受け止め方になる。
国内は統一されているものの、
世界レベルでは……ということになると、
これはどこか人間の言語を思い起こさせる。

ところが、同じ動物の鳴き声でありながら、
国内の統一すら、ままならないものも存在する。
それが、今回の題材である「キジバト」の鳴き声である。

「キジバト」と聞いて、
「?」と首をひねる人もいるかも知れない。
名前の中に「バト」という部分があるので、
「ハト」の一種であるというのは、
何となく察することが出来るのだが、
じゃあ、それがどんな「ハト」で、普通の「ハト」と、
どう違うのか?ということになると、
途端によく分からなくなってしまうのではないだろうか。

「キジバト」は、鳥綱ハト目ハト科キジバト属に属する、
鳥類の一種である。
公園や神社で、群れをなしてエサをついばんでいる、
いわゆる普通のハトは「カワラバト」といい、
同じくハト目ハト科に属する鳥である。
(カワラバト属に属している)
サイズ的には「キジバト」も「カワラバト」も、
ほとんど同じくらいの大きさなのだが、
その模様、鳴き声、生息場所などは全く違っている。
「カワラバト」が神社や公園など、人間の生活圏の中に入り込んで
生きているのに対し、「キジバト」は
山地などを主な生息場所にしている。
(ただ、最近では人間の生活圏の中で生きる「キジバト」も
 増えてきているらしい)
そのため「キジバト」は、別名を「ヤマバト」と呼ばれたりもする。
また、羽色は両者とも、全体的にグレーっぽい感じになっているが、
「キジバト」の方は、首の当たりに横縞模様、
羽根には鱗状の模様が入っており、
これが「キジ」の羽色に似ていることから、
「キジバト」という名前になった。

日本を始めとした、ユーラシア大陸東部地域に生息しており、
我が国では、国内のみで繁殖している「留鳥」とされているが、
実際に他国では、季節にあわせて住む場所を変える
渡り鳥とされている場合もある。
(もっとも日本の国内においても、
 北海道や本州北部など、寒い地方に住むハトは
 冬になれば南下して、越冬を行なっている。
 ちなみに「カワラバト」の方は、現在、
 ユーラシア大陸、ヨーロッパなどを中心に生息しているが、
 多くの場所で、留鳥と認識されているようである)
この「キジバト」は、現在でも狩猟の対象に指定されている。
同じハトでも「カワラバト」の方は、狩猟鳥獣から除外され、
手厚く保護されており、エラく扱いが違う。
先に書いたように、主に山岳部をその生息域としていたが、
1960年代に都市部で猟銃の使用が禁止されると、
それにともなって、都市部でもその姿が見られるようになり、
街路樹や建造物などに営巣する姿も見られるようになった。
これら都市部に生息している「キジバト」は、
人間に対する警戒心が、低下する傾向にある。
(もっとも警戒心が低下する、とはいっても
 公園などで群がって、人にエサをねだる
 「カワラバト」ほどではないが……)
当然、狩猟対象であるということは、
これを食べている人もいるわけで、
それらの人たちの「味」の感想を調べてみたところ、
ほとんどの人が「臭みがなくて、美味しい」とのことであった。
(ちなみに「カワラバト」の「味」についても知っている人がおり、
 こちらは肉に臭みがあって、あまり美味しくはないらしい。
 大自然の中で、木の実などを食べて生きている「キジバト」と、
 人間の生活圏内で、生ゴミなどを食べている「カワラバト」の、
 食性の差であろうか?)

さて、この「キジバト」の最大の特徴といえば、
その鳴き声である。
かなり特徴的な鳴き声で、実際に聞いてみれば、
ああ、この鳴き声かと、一発で分かってもらえるのだが、
改めて、その鳴き声を文字に直してみると、
これが人によって、てんでバラバラになってしまう。
それらを取り上げてみると、

・トートーットット
・チューチューワイワイ
・ホーホワホッホー
・ホーホー、ッホホー
・ポッポーグルッポー
・ドードーポッポー
・ドゥードゥーポッポー

など、まさに千差万別である。
「ホ」または「ポ」と表現している人が多いのは、
同じハトである「カワラバト」の鳴き声を
イメージしているためだろうか?
だが、チューチューワイワイなど、
まるでネズミが運動会をしているようで、
鳥の鳴き声っぽさが全く無い表現があるのも、興味深い。
ちなみに自分の耳にどう聞こえるか?と言われれば、

・ホーホ、ホッホホー

である。
これまた先に書き出した、どの鳴き声とも違っている。

最初に書いたように、動物の鳴き声というものは、
大体が「国」単位で統一されているのが、一般的である。
これは、同じ言語に慣れた耳には、動物の鳴き声が、
それぞれ同じように聞こえる、ということなのかも知れないが、
そういう意味では、同じ言語を使っている我々日本人の耳にさえ、
ここまでバラバラに聞こえる「キジバト」の鳴き声というのは、
かなり特殊な「音」を発しているのかも知れない。

果たして、この記事を読んでいる人の耳には、
彼らの鳴き声は、「どう」聞こえているのだろうか?

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