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カヌー体験〜その2

更新日:

カヌーに乗るために、はるばると音水湖までやってきた我々は、
フローティングベストを着込み、パドルを握りしめて
カヌーへと乗り込んだ。
係員にそっと船体を押され、湖岸から湖中央へと流れていくカヌー。
いよいよ、カヌー体験の本番である。

さて、それほど難しい手続きも無く、
あっさりと湖上の人となった我々だったが、
実は2人とも、これまでにカヌーに乗った経験が無い。
自分はまだ、ゴムボートを漕いだ経験があるのだが、
友人の方には、そういった経験も無いようである。
(もっとも、進行方向に背を向けてオールを漕ぐボートと、
 進行方向に向かってパドルで漕ぐカヌーとでは、
 ほとんど共通点は無いといっていい)
係員からは、あまり上体を動かさないようにして漕ぐと安定する、
とだけアドバイスをもらっていたので、
とにかく、上半身をあまり動かさないようにして、
見よう見まねでパドルを使ってみる。

ここで一応説明しておくと、
パドルとは、各種のカヌーで使われる「櫂(かい)」のことだ。
棒の先に「ブレード」と呼ばれる、平たい板状の部分があり、
これを水の中に入れて、水を掻くわけである。
パドルには、棒の片側だけにブレードのついている
「シングルブレードパドル」と、
棒の両端にブレードのついている「ダブルブレードパドル」がある。
今回、我々が使っているのが、
この「ダブルブレードパドル」である。
先に、自分はかつてゴムボートに乗り、
「オール」を漕いだことがある、と書いたが、
型状の上では「シングルブレードパドル」と、
ボートなどで使う「オール」は、ほぼ同じものである。
船縁などに支点を持つものを「オール」、
支点を持たず、操縦者の腕だけで保持されているものを
「パドル」と呼称している。

このパドルを、身体の前で横になるようにして持ち、
右のブレードで、右の水面をひと掻き、
続いて左のブレードで、左の水面をひと掻きする。
これを繰り返して行なうことで、カヌーは前に進んでいく。
だが、右と左を同時に漕ぐことが出来ないために、
右をひと掻きすれば、船首は左を向き、
左をひと掻きすれば、船首は右を向く。
カヌーに乗っている本人にしてみれば、
船体は微妙にジグザグしながら、前に進んでいることになる。
さらに、ジグザグしながらもまっすぐに前に進んでいればいい方で、
右と左の漕ぐ力が違っていた場合、
船は右か左へと緩やかなカーブを描いて進んでいき、
大きな円を描くようにして、
元の位置に戻ってきてしまうことになる。
色々試してみた結果、脇を身体にくっつけるようにしてパドルを構え、
なるべくその構えを崩さないように、
身体の前で右手と左手を、自転車のペダルを漕ぐように動かせば、
比較的疲れることも無く、船体もまっすぐに進んでいくようだ。

チャパチャパと、試行錯誤を繰り返しながら、
湖の中央辺りまで漕ぎ出したが、
思っていたほどにスピードは出ず、かなりのんびりとしたクルーズだ。
まあ、それも道理で、
我々2人は、全くのカヌー初心者であったため、
転覆事故の起こりにくい、かなり幅のあるカヌーに乗っていた。
船というものは、幅が小さければ小さいほど、
容易にスピードが出るが、転覆しやすくなる。
我々の乗っているカヌーは、幅があり安定感がある分だけ、
スピードの出にくい構造になっているのだ。
もっとも、自分も友人も、のんびりと湖面を漂えればいいので、
スピードが出ないことには、全く不満は無い。
この日は、ちょうど10月の中旬ごろで、
カヌーシーズンとしては、終末期にあたる。
(音水湖のレンタルカヌーは、4月~10月31日までの期間しか
 営業していないのである。
 さらに夏期休業中以外は、平日も営業しておらず、
 基本的に営業日は、土日祝のみとなっている。
 平日に利用したい場合は、要相談ということになる)
カヌーで湖面に漕ぎ出しているのも、自分たち2人だけで、
東京ドーム20個分近い音水湖の水面は、独占状態である。

カヌーの発着場を漕ぎ出した我々は、一旦湖の中央部まで移動し、
そこからのんびりと東岸沿いに南へ下っていくことにした。
前回、書いたように、音水湖の東岸を国道29号線が走っているため、
それが所々、東岸に橋を架ける結果となり、
色々と変化のある風景を、楽しむことが出来るようになっている。
岸沿いに進みながら、場所によっては橋の下へと潜り込む。
かなり上流にあるダム湖なので、水自体の透明度が高く、
岸近くに寄れば、湖底まで見透かすことが出来る。
(もっとも岸から急激に深くなっているので、
 湖底まで見透かせる場所は、それほど広くはないのだが……)
岸沿いに、橋を1つ過ぎ、もう1つ過ぎ、
少し大きなアーチ状の橋近くまで行ったときに、
ちょうど時間が30分を示すアラームが鳴った。
(手持ちの携帯のアラーム音だ)
もともと1時間レンタルのつもりで来ているので、
そろそろ発着場に戻り始める頃合だろう。
もっとも、ここまでかなりのんびりと漕いできたので、
それほどあわてて戻らなければならないわけではない。
我々は岸から離れると、そのまま一直線に発着場所を目指した。

戻りは、追い風だったため、15分ほどで発着場近くまで戻れた。
その後、5分前くらいまでは、発着場周りでカヌーを漕ぎ、
残り5分になったところで岸に上がった。
そのままカヌーをカヌー置き場に戻し、クラブハウスへと戻った。
フローティングベストとパドルを所定の位置に戻し、
事務所へと料金を支払いにいく。
パドルはともかく、フローティングベストのレンタル料も
含まれているため、1時間500円はかなりお得だ。
さらに追加料金を払えば、クラブハウス内の更衣室や、
シャワーなどを使うことも出来る。
この季節なので、特に汗をかく様なこともなく、
そのままシャワーを使わずにすませたが、
太陽の照りつける夏などは、きっと汗だくになるだろう。
そういう場合に、シャワーはありがたい。

カヌーの安定性が良く、我々も無茶な漕ぎ方をしなかったため、
カヌーがひっくり返る様なことも起こらなかったのだが、
船の上にいた我々は、結構、濡れてしまった。
と、いうのも、パドルで水を掻く際に、
パドルから水がたれてきて、それが衣服を濡らす結果となったのだ。
また、最初に書いた通り、船底には水抜きのためのものと思われる
穴が開いており、そこから絶えず、水しぶきが出ていたので、
その上に伸ばしている足にはいているズボンも、
濡れてしまうことになった。
幸い、着替えが必要なほどは濡れなかったので、
用意しておいた着替えは、使うことが無かったのだが、
もっと長い時間(我々は1時間だけだった)、
カヌーに乗ったりするのであれば、
着替えは絶対に必要になってくるだろう。

結局、1時間ほど、我々はカヌーを漕ぎ続けたわけだ。
そのため、腕が痛くなるか?と考えていたのだが、
自分も友人も、痛くなったのは「腰」であった。
カヌーに乗っている間中、足で踏ん張るようにして、
上半身を固定していたため、
結果として「腰」に負担がかかったらしい。
腕の方は全く痛みを覚えなかったのだが、
1時間であれだけ「腰」にくる、ということであれば、
やはり我々が気軽にカヌーを乗り回せる時間は、
せいぜい1時間ということなのだろう。

音水湖カヌークラブでは、カヌーの他に
以前このブログでも紹介した、SUPなどもレンタルしている。
こちらの方は、初心者の場合、
1時間のレッスンを受けなければならず、
レンタル料金もカヌーに比べて、やや割高になっている。
この辺り、流行ものは高い、ということだろうか?

カヌーについては、今回自分が使用した
幅広のシングルカヌーの他に、
同じシングルでも、幅が狭く、よりスピードの出せるもの、
2人乗りのタンディムカヤック、
2~4人乗りの、カナディアンカヌーなどが用意されている。
もし、次回利用するときには、同じシングルカヌーでも
細身のスピードの出るタイプで、
湖面を颯爽と航行してみたいものだ。

北播磨の山奥にある、カヌーの楽園「音水湖」。
気軽にカヌーを楽しめる、隠れ家的なスポットである。

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