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悪の組織のデザインセンス〜その1

更新日:

人間の作った「モノ」には、
すべからく、それを作った人間のセンスが表れる。

例えば、車やバイクなどの乗り物の場合、
専門のデザイナーがそのデザインを考え、
これを商品として組み上げていく。
そうして完成した車やバイクには、
デザイナーのセンスが表れている。

例えば、お菓子などの加工食品の場合、
開発担当者たちが頭をひねり、新製品のレシピを完成させ、
これをもとに同じ商品を大量生産していく。
当然、同じ商品が山ほど生産されるわけだが、
これら全てに、開発担当者たちのセンスが表れている。

例えば、もっと根源的な畜産や農業の場合、
生産者の考えによって、畜養方法や栽培方法が決定され、
これに従って、家畜も農作物も生産されていく。
同じ動物、植物を育てたとしても、
出来上がった畜産物、農産物には
生産者による違いが表れることになる。
これもまた、生産者のセンスの違いによって生じているので、
これらにも、生産者のセンスが表れているといえるだろう。

今回の例に挙げていいものかどうかわからないが、
例えば、学校で教師が生徒を教える場合、
教師の教え方、方針、人間性などによって、
教え子たちに知識、人格の傾向が生じる。
生徒を、教師によって知識形成、人格形成させられた
「モノ」と考えるのならば、
教え子たちには、教師のセンスが表れていることになる。

デザイナー、開発担当者、生産者、教師と、
使われている言葉は違うものの、これらは全て、
生産物にそのセンスを表し得る、デザイナーといえる。
そういう意味では、自らの考えによって
「何か」を生み出すものは、全てデザイナーということになり、
それによって生み出された全てのものには、
デザイナーのセンスが表れている、ということが出来る。

これは、毎週様々な「怪人」を生み出している、
悪の組織についてもいえることである。
ショッカーには、ショッカーのセンスで統一された怪人群が居り、
デストロンには、デストロンのセンスで統一された怪人群が居る。
今回は、仮面ライダーシリーズの悪の組織の怪人を取り上げ、
そのデザインセンスを分析してみたい。

まず、最初に取り上げるのは「仮面ライダー」の
「ショッカー・ゲルショッカー」である。

第1話から「蜘蛛男」、「蝙蝠男」、「さそり男」と続いたことから、
この組織の怪人は、「動物」+「男」というコンセプトで
作られているのだろうと思ってしまうのだが、
第4話で「サラセニアン」という、
食虫植物サラセニアをモチーフにした怪人が登場する。
ここまでの「動物」+「男」の図式が崩され、
植物もまた、怪人のモチーフになることが明らかになった。
名前の上でも、「〜〜男」のパターンが崩されてしまった。
ひょっとすると「サラセニアン」は、
1〜3話までの「男」シリーズの開発者とは別の開発者、
開発ルートによって製作されているのかも知れない。
「サラセニアン」の後は、「かまきり男」、「蜂女」と続くのだが、
「〜〜男」シリーズの中に、ただ1つの「女」が
紛れ込んでいる所に注目したい。
ネーミングセンスから見ても、
「〜〜男」シリーズ開発者の系統と思われるが、
勢い込んで作ってみたものの、不評だったため、
「〜〜女」シリーズは頓挫したものと思われる。

これ以降は「動植物をモチーフにする」という大前提のもと、
「〜〜男」シリーズと、それ以外の怪人が作られていくわけだが、
徐々にその範囲は広がり始める。

第30話に出てきた「ザンブロンゾ」は、
三葉虫の化石を復活させて作られた怪人だし、
第36話に出てきた「エジプタス」は、
ミイラを蘇生して作り上げられた怪人だ。
ショッカーの科学力は、化石やミイラを蘇生させるという、
信じられないマネをやってのけたのである。

さらに第40話、怪人「スノーゴン」は、
ヒマラヤの雪男を改造したということになっている。
ショッカーは人類が発見できなかった、
雪男の発見・捕獲に成功している。

そしてついに第41話、「ゴースター」に至って、
いよいよモチーフが不明の怪人が登場する。
耐熱怪人と銘打たれてはいるものの、
生物的なモチーフはありそうにない。
(溶岩と岩がモチーフに見える)
ただ、このタイプは少なく、「ゴースター」の他には、
第51話に登場した石怪人「ユニコルノス」くらいである。

そして80話において、ショッカーに変化が起こる。
アフリカの秘密結社・ゲルダム団と合併し、
ゲルショッカーへと組織が一新されたのである。
ここで怪人のデザインコンセプトにも変化が起こる。
「ガニコウモル」、「サソリトカゲス」、「クラゲウルフ」など、
2種類の動植物をミックスして、
これをモチーフにするようになったのだ。
このデザインモチーフは、ゲルショッカー登場から最終回まで、
ずっと一貫していたので、恐らくは全て同一の開発陣によって
開発されていたものと思われる。

こうしてみると、ショッカー・ゲルショッカーの開発陣には、
少なくとも、3通りのデザイナーがいたようである。
「〜〜男」シリーズのデザイナー、
それ以外のショッカー怪人のデザイナー、
2つの動植物をモチーフにしたゲルショッカーのデザイナー。
だが、純粋にデザインで考えた場合、
もう1人、ここにデザイナーが加わっているはずだ。
そう、「ライダー」をつくったデザイナーである。
このデザイナーがもし、第1話以降も存在していれば、
見た目がライダーに良く似通った怪人が登場したはずだが、
そうならなかった所を見ると、
第1話の時点ですでに死亡していた可能性がある。
そう考えると、改造人間の製作に無理矢理協力させられ、
第1話で殺害された1号ライダー・本郷猛の恩師、
緑川博士こそが、ライダーのデザイナーであった可能性が高い。
もし、緑川博士が第1話以降もショッカーで怪人を製作していれば、
「〜〜男」シリーズ、それ以外のシリーズに続く、
第3の怪人群が存在していたのかも知れない。

さて、ライダーシリーズ第1作「仮面ライダー」の
怪人デザインについて、そのネーミング、モチーフなどから、
考察を加えてみた。

次回は、第2作「仮面ライダーV3」以降のシリーズについて、
怪人のデザインセンスを検証していく。

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