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スーパーX〜その2

更新日:

平成「ゴジラ」シリーズ第1作「ゴジラ」において、
華々しく(?)デビューした、スーパーX。

続く「ゴジラVSビオランテ」にも、
後継機であるスーパーX2が登場し、
このまま平成「ゴジラ」シリーズの名物になるかと思われたのだが、
ことは、そう上手く運ばなかった。
平成「ゴジラ」シリーズ第3作「ゴジラVSキングギドラ」では、
スーパーXの出番はなく、続く第4作「ゴジラVSモスラ」においても、
スーパーXは登場しなかった。
「VSキングギドラ」のラストシーンでは、
未来人の手によって改造を施され、人類の味方となった
メカキングギドラが登場し、華々しくゴジラとやり合っていたし、
「VSモスラ」では、もともとモスラは
人間の味方といっていいスタンスの怪獣である。
詰まる所、わざわざスーパーXという、
対ゴジラ用の兵器を繰り出さずとも、
それぞれ、人類の味方たりうる強力な兵器、
味方が存在していたのである。
そして、「VSキングギドラ」で登場したメカキングギドラは、
後のシリーズに大きな影響を与えることになる。

平成「ゴジラ」シリーズ第5作「ゴジラVSメカゴジラ」では、
先述したメカキングギドラに使われていた未来の技術を元に、
人類はついにメカゴジラを作製、
これを対ゴジラ兵器としてしまったのである。
平成「ゴジラ」シリーズ以前、いわゆる昭和「ゴジラ」シリーズにも
メカゴジラは登場しているのだが、
昭和「ゴジラ」シリーズで出てくるそれは、
地球侵略を企む宇宙人の尖兵となるロボット兵器であり、
これと人類の味方であるゴジラが戦うというのが、
基本的なストーリーラインであった。
しかし平成「ゴジラ」シリーズでは、
そこから宇宙人という要素が取り除かれ、
ゴジラとメカゴジラの善悪の立ち位置も逆転してしまった。
つまり、平成「ゴジラ」シリーズに出てくるメカゴジラは、
日本の平和を守るための、正義のスーパーロボットだったのである。
アニメのロボットもの同様、メカゴジラにもパイロットが乗り込み、
その操縦によって、破壊の化身ゴジラに戦いを挑む。
ここまでくると、怪獣映画というよりは、
特撮ヒーロー映画である。
こんな超兵器が出てきてしまっては、
空飛ぶ肉まんや、空飛ぶアイロンの出番など、あろうはずもない。

続く、平成「ゴジラ」シリーズ第6作、
「ゴジラVSスペースゴジラ」においては、
メカゴジラをさらに進化させた様な戦闘ロボット・モゲラが登場、
ゴジラやスペースゴジラを相手に渡り合うこととなった。
このモゲラ、もともとは1957年に東宝が製作した
「地球防衛軍」の中で、敵宇宙人ミステリアンの尖兵として登場した
ロボット兵器である。
もちろん、これら過去の設定は全てなかったことにされ、
改めて、対ゴジラ用のスーパーロボットとして
人類が作製したことになった。
全高120m、大気圏内をマッハ1の速度で飛行し、
宇宙空間での飛行も可能。
(そのときの飛行速度は、なんとマッハ44)
上半身、下半身が分離する合体ロボットで、
それぞれ特殊戦車ランドモゲラー、
万能戦闘機スターファルコンとなる。
まったくどこのロボットアニメだと、突っ込みたくなるが、
デザインに関しては「地球防衛軍」のモゲラを踏襲しており、
はっきりいってダサい。

だが、メカゴジラといい、モゲラといい、
こんな巨大ロボット兵器がバンバン出てくるようになっては、
ゴジラの、絶対的な破壊者としての恐ろしさがなくなってしまう。
極端な話、メカゴジラやモゲラを10体、20体と量産し、
それらで一斉にゴジラに襲いかかれば、
いかなゴジラであろうとも、
あっさりと倒せてしまうからである。
どうしてそうしないのか、見ている側からしてみれば、
もどかしくて仕様が無いという状態になったのである。

だが、ここに来て、唐突に流れが変わる。
平成「ゴジラ」シリーズ最終作「ゴジラVSデストロイア」では、
メカゴジラ、モゲラと続いた巨大ロボット兵器が全く出てこない。
(次あたり、ひょっとしてジェットジャガーが出てくるか?と、
 秘かに期待していたのだが……)
もっとも、この「VSデストロイア」の中のゴジラは、
体内炉心の核エネルギーが不安定になっており、
いつ核爆発を起こしてもおかしくないという、
非常に危険な状態になっている。
そんなゴジラにロボット兵器をぶつければ、
あっという間に核爆発を誘発してしまうだろう。
かくして、ここまで順調に強化されてきた
ロボット兵器が使えないということになって、
はたと手詰まりになる人類。
どうにかして、ゴジラの体内の核反応を沈静化させないと、
攻撃すら、ままならないという状況に至り、
人類は、あの秘密兵器のことを思い出す。
そうだ。
たしかこの平成「ゴジラ」シリーズの始めに、
ゴジラの体内の核反応を抑制し、
その行動を不能にした秘密兵器があったはず。
現在の、体内炉心が不安定になっているゴジラに対抗するのに、
あれほど適した兵器はないはずだ。
スーパーXだ。
スーパーXこそが、このピンチを救う救世主だ。
スーパーXはまだか。

だが、1984年版「ゴジラ」において、
ゴジラを行動不能に追い込んだスーパーXは、
あの時の戦いで完全に破壊され、
「VSビオランテ」の際のスーパーX2も、囮となって破壊された。
以降、人類はメカゴジラ、モゲラと巨大ロボット兵器を
対ゴジラ用の兵器としたため、
スーパーXが使用されることはなかった。
スーパーXはもうないのか……、人類が絶望したとき、
颯爽と現れる第3のスーパーX、その名もスーパーX3。
(そのまんまだ)

だが、対ゴジラ用兵器として、
巨大ロボット兵器が主力となっているはずなのに、
どうして第3のスーパーXが作られていたのか?
実は、このスーパーX3は
対ゴジラ用兵器として作られたものではなく、
原発事故、核攻撃に対抗するために作られた、
多目的戦闘機であった。
奇しくも、初代スーパーXが首都防衛用に作られていたのと同じく、
もともと対ゴジラ用兵器ではなかったのである。
核攻撃はともかく、原発事故対策として
戦闘機を作ろうという考えは、全く理解できないが、
さしあたって、ゴジラに対応できるのであれば、
それについては目をつむろう。
武装は、かつてゴジラを昏倒させたカドミウム弾に、
冷凍ミサイル、超低温レーザー。
カドミウム弾以外は、すべて冷却武器になっているあたり、
核に対しては、とりあえず
「冷やしていこう」というスタンスのようだ。
そのスタイルについても、
空飛ぶ肉まん、空飛ぶアイロンと揶揄された
1号機、2号機と違って飛行機然とした形状であり、
わりとかっこいい。
豊後水道では、カドミウム弾によってゴジラを沈黙させ、
デストロイアにトドメを刺し、メルトダウンを始めたゴジラに
冷凍兵器を浴びせかけ、その被害を押さえ込んだ。
1号機、2号機を上回る怒濤の活躍である。

かくして、平成「ゴジラ」シリーズは幕を下ろした。
途中、巨大ロボット兵器にお株を奪われたものの、
シリーズ全体を通してみれば、重要な部分には、
必ずスーパーXの姿があった。
残念なことに、平成「ゴジラ」シリーズ以降の、
ミレニアムシリーズでは全くスーパーXは登場せず、
現在の所、これが出てくるゴジラ映画は3本だけである。

余りのダサさが、笑いを誘ったスーパーX。
でも、意外と活躍していたスーパーX。

いつか、シリーズに復活してくれることを、願って止まない。

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