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SUP

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奈良県の「大台ケ原」に登ったときのことである。

約10kmの周遊コースを巡り、駐車場へ戻ってきた我々は、
駐車場にある土産物屋の中を覗いてみた。
中には奈良県内各地の土産物が並んでいたのだが、
その片隅にパンフレットラックが置かれていて、
奈良観光に関係のある、様々なパンフレットが入っていた。
自分はこういうパンフレット類を見ると、
とりあえず手に取ってしまうタチである。
興味をそそられたものを、手当たり次第に手にとった。

その中の1つに
「清流宮川でSUPレッスン」
というものがあった。
A4サイズのペーパーで、パンフレットというよりは
チラシといった方が、いいかも知れない。
表面の下側には、水面に浮かんだ巨大な笹カマボコの様なものの上に
手にパドル(櫂)を持った子供が立っている写真が印刷されている。
場所はどこかのダム湖のように見えるが、
パンフレットの言葉を信じるのならば、ここに写っているのが、
「清流宮川」なのだろう。

パンフレットには、さらに
「三重県大台町エコパークの川」と書かれており、
このパンフレットは奈良県のものではなく、
三重県のものであることが分かる。
「大台ケ原」は、奈良県と三重県の県境に位置しているので、
奈良県のパンフレットだけでなく、
三重県のパンフレットが置かれていても、不思議ではない。
早速、手持ちの地図帳で「三重県」のページを広げ、
「大台町」「宮川」というのを探してみる。
すると、三重県の中央やや下辺りに「大台町」があった。
その「大台町」を東西に流れているのが「宮川」で、
その源流は「大台ケ原」にある。
自分の持っている地図帳では、「大台町」の西側に
「宮川村」という自治体があるのだが、
2006年に「大台町」と合併し、無くなってしまっている。
つまり「大台ケ原」から「宮川」に沿った一帯が
「大台町」ということである。
地図で見る限りでは、この「宮川」の上流にダム湖があるので、
パンフレットの写真は、ここで撮影されたものだろう。

「清流宮川」というのが、
三重県の中央部を流れる川だというのは分かったが、
それでは「SUP」とは何なのか?

実は、これは「スタンドアップパドルボード」のことだ。
「Stand Up Paddleboard」の頭文字をとって、「SUP」となる。
「サップ」と呼ばれている。
一見した所、サーフボードの上に立っているように見えるが、
実は「SUP」専用のボードがあり、
こちらはサーフボードに比べ、浮力が高く、安定性も抜群で、
乗るのもかなり簡単になっている。
サーフィンのように波に乗って、移動していくのではなく、
手に持ったパドルで水を漕いで、前に進んでいく。
当然、波が無い凪いだ海面や、池や川などでも楽しむことが出来る。
まさに「水上散歩」である。

比較的簡単であり、サーフィンの様に大きな波を必要としないため、
近年、世界中で急激に人気が高まってきている。
サーフィンに比べて簡単とはいえ、
ボード上でバランスをとらなければならないため、
インナーマッスルが鍛えられ、フィットネス効果もあるという。
最近では、普通にパドリングする他にも、
子供を乗せてクルージングしたり、釣りをしたり、
ボードの上でヨガなどをすることもあるという。
クルージングや釣りはともかく、
何故、わざわざ水に浮いたボードの上でヨガをするのかは、
よく分からない。
普通に地面の上でやるよりも、不安定なボードの上でやる方が、
効果が高かったりするのだろうか?
自分の見たパンフレットのプログラムの中には、
「メガサップカフェ」なるものもあった。
これは「SUP」の上でカフェをオープンする、というもので、
思わず、なんじゃそりゃ!と、突っ込んでしまう。
巨大な「SUP」を水面上に浮かべ、
その上にテーブルやイスを並べて、「SUP」上で飲食をする。
カフェというよりは、水上食事会のようにも思えるが、
パンフレットに載っている写真を見る限りでは、
巨大な「SUP」の上に折りたたみ式のテーブルとイスを並べ、
4人の成人男性が食事をしている。
その状況で食事が出来る、ということは、
巨大な「SUP」には、かなりの安定感があるのだろう。
湖畔や河原などで、バーベキューなどをやっている人たちの姿は
日本各地でよく目にするが、水面上にボードを浮かべて、
その上でやるというのは前代未聞だろう。
(もちろん、「SUP」が巨大で安定感があるとはいえ、
 ものが「SUP」である限り、常に転覆の危険はついて回る。
 ボードの上で動き回るとバランスを崩す恐れもあるだろうし、
 万が一の転覆に供えて、
 ライフジャケットを身につけておく必要がある)
改めて調べてみた所、日本でも各地で「SUP」体験が実施されている。
自分が見つけたパンフレットも、そういった「SUP」体験の1つで、
「SUP」のレッスンが受けられるというものらしい。
レッスンは2時間のプログラムになっており、
写真で見た限りでは、小学生くらいの子供も
平気でボードの上に立っているので、
わりと簡単にマスターできるようだ。

「SUP」は、ここ近年になって、
盛んに取り上げられるようになってきたので、
全く新しいスポーツか?と考えられがちだが、
調べてみた所、その発祥は1960年代ということなので、
少なくとも半世紀ほどの歴史があるらしい。
サーフィンの本場、ハワイ・ワイキキでサーフボードの上で
パドルを使い「漕ぐ」という乗り方が始まったのが、
「SUP」の始まり、ということになっている。
現在では、安定感のある「SUP」専用のボードも作られているが、
その当時は全く普通のサーフィン用のボードで行なわれていた。
当初は、サーフィンのための足腰の鍛錬として始められたが
結果として沖合からのテイクオフ(波に乗ること)も可能になった。
サーフィンをしている所を見ればわかるように、
本来はサーフボードの上に腹這いになるか、正座するかして、
手で漕いで沖に出て行くのだが、
「SUP」は、それをパドルで行なうようになったものといえる。
やがて「波に乗る」という、サーフィン本来の目的を排し、
パドルを使って水上を移動することを主目的としたのが
「SUP」というわけなのである。

最近では、日本各地で「SUP」の体験会が行われており、
その会場は海、川、運河、湖と全く場所を選んでいない。
東京や大阪といった、大都会の川や運河などでも、
「SUP」体験会は行われているため、
ごく身近な場所での「SUP」体験が可能となっている。
この辺りの、どこでも出来る「お手軽感」が、
昨今の急激な「SUP」人気の理由だろう。

連日の猛暑で、どこかへ水遊びにいきたいと思ったとき、
存外、身近な場所で楽しめる「SUP」にチャレンジしてみても、
面白いだろう。

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