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クマ被害

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ここの所、各地でクマ被害が相次いでいる。

春先、冬眠から覚めたクマと、
春の山菜を求めて山の中に入っていた人間が、
山の中で遭遇し、被害に遭っているパターンが多いようである。

「人喰いグマ」といえば、北海道に生息している
ヒグマが知られているが、今回、被害が多発しているのは、
本州の各地でのことなので、一連の事件は、
ツキノワグマが引き起こしていることになる。
ツキノワグマは、ヒグマに比べると小型であり、
比較的おとなしいと言われているが、
実際問題として、年に数件の死亡事故も起こっているので、
やはりクマはクマ、ということだろう。
サイズも、大きいものでは体長180cm、
体重120kgにもなるので、
ちょっとした相撲取りと、同じくらいのサイズと考えても良い。
(ヒグマの方は体長3m、体重500kgにもなる。
 こちらの方は、遥かに人間を超越している)
争ってどうにかなるようなサイズではないので、
クマに出会ったり、襲われたりしてからどうするかよりも、
いかにクマに遭遇しないようにするかが、肝心だろう。

とはいっても西日本では、棲息しているツキノワグマの数も、
東日本に比べて、それほど多くは無いようである。
九州では、かなり以前にクマは絶滅しているし、
(その後、何回か目撃されたりしたことがあるが、
 多くの場合、本州・山口県辺りのツキノワグマが
 迷い込んだものらしい)
四国には、20頭ほどが生息しているとされるのみである。
自分も、西播地区の多くの山に登ってみたが、
これまで一度として、クマに遭遇したことはない。
シカには数えきれないほど、イノシシには1度、
遭遇していることを考えると、
西播地区には、クマはかなり少ないようである。
ただ、過去にはクマの出没例もあるようで、
宍粟市の国見山や、相生市の感状山には、
「クマ出没注意」の看板が設置されている。
この近辺では、宍粟市やたつの市新宮町などにも
クマの出没例があり、かつてはそれなりの数のクマが
生息していたのかも知れない。

今回の一連の騒動では、クマに襲われて命を落とした
例のうち、4件が秋田県鹿角町に集中している。
TVニュースを見ている限りでは、
1回、人間を殺して、それを食べることを覚えたクマは、
どうも人間ばかりを襲うようになるらしい。
たしかに、他の動物に比べても人間の身体は大きく、
平均で50kgから70kgほどの体重がある。
日本の山林に生息している動物の中で、
これに匹敵するほどの体重を有しているのは、
シカかイノシシくらいだろう。
(人間に飼育されている動物を考えれば、
 牛や馬、ブタなど、人間以上に体重のある動物もいるが……)
人間(非武装)、シカ、イノシシと並べてみても、
一番、人間がチョロそうに見える。
そんな人間を、クマがなかなか襲わないのは、
やはりどこかにハンターなどによって植え付けられた、
人間に対する恐怖心があるからだろう。
しかし、何らかの偶然、
例えば、全くの予想外に人間に遭遇し、
パニックになって人間に向かっていき、あっさりとこれを倒せれば、
潜在的に刷り込まれていた、人間への恐怖心が無くなってしまう。
コロンブスの卵というか、目から鱗というか、
それまで「人間=怖い」と刷り込まれていた価値観は崩壊し、
「人間=チョロい」という価値観が出来上がってしまう。
そうなってくると、これまでの様に人間の目を避け、
野菜や家畜、野生動物を襲っているのは、
面倒くさくなるだろう。
山の中で、あるいは人の少ない人里で、
1人でウロウロしている人間を襲って、これを食べれば、
かなり楽に、そこそこの量の肉が手に入るのだ。
ドングリやタケノコ、サケなどと違い、
人間は1年中、そこら辺にいて、
ガブリとやれば、あっさりと倒すことが出来るのだ。
これで人間を襲わなければ、バカである。
かくして、目から鱗の落ちたクマたちは、
効率のいい栄養補給を目指して、
人間ばかりを狙うことになるのである。

ニュースを見ていると、
どうやら昨年の秋、山のドングリが豊作だったため、
クマの個体数が増えたのではないか?ということであった。
よく、「山のドングリが不作で、クマが人里に出没した」
なんていうニュースが報道されているが、
結局の所、ドングリが減ろうが増えようが、
クマの被害は出る、ということらしい。
ちなみに、この話だけを聞いていると、
どうもクマが、ドングリばかりを食べているような錯覚を覚える。
もちろん、ツキノワグマにしろ、ヒグマにしろ、
クマというのは雑食性なので、植物性のドングリはもちろん、
タケノコや木の芽、果実類を始めとして、
人間の栽培している果樹園の中に入り込み、
その作物を食い荒らすこともある。
今年の例では、山形県内でサクランボがクマの被害に遭っている。
動物性のエサとしては、小型の脊椎動物や昆虫類をはじめ、
サケなどの川魚、動物の死骸などがある。
さらにこれに限らず、北海道ではヒグマによる
馬や牛の家畜被害も起きている。
馬や牛さえも襲ってエサにしてしまうクマからしてみれば、
人間などは、いかにも襲いやすく、
お手頃なエサに映るのかも知れない。

今回のような「クマ事件」が起こると、
世間では、「クマを駆除すべきである」という意見と、
「クマを保護すべきである」という意見が対立する。
もちろん、駆除派にしても、
クマを手当り次第に駆除するというわけではないし、
保護派にしても、
クマに好き放題させておこうというわけでもないのだが、
やはりその根本的なスタンスが違いすぎるのか、
対立的なのは変わらないようである。
さすがに今回のように、同一の個体(?)に4人も殺害され、
その死体を食べられたという状況にあっては、
「駆除もやむなし」との声が大きくなる。
まあ、そんなクマを、このまま保護の名目の元で放置しておけば、
この先どれくらいの人的被害が出るのか、
想像するのも恐ろしい。
すでに、秋田県鹿角町では、雌のクマを1匹射殺したらしい。
このクマを解剖してみた所、身体の中から
人間の身体の一部が見つかったということなので、
一連の事件の犯人(クマ)は、このクマである可能性が強いが、
現地では、他のクマの可能性も考慮して、
付近の住民には、引き続き警戒を呼びかけている。
まだまだ現地にとっては、
緊迫した日々が続くようである。

自分のように、頻繁に山に登っている人間にとっては、
「クマ被害」というのは、人ごとでは済まされない
現実的な問題である。
もちろん、先にも書いたように、
自分の活動範囲である西播地方では、
クマの生息数そのものが少ないのだが、
自分からいそいそと山の中に入っていく登山者は、
登山をしない他の人間よりも、
遥かに大きな危険を背負っていることになる。

現在の所、こうすれば山の中でクマに出会わないという
確実な方法は、存在していない。
つまり我々登山者は、多かれ少なかれ、
クマに遭遇する可能性があるわけだ。

ヘビと同様、クマにも出来るだけ会わずに済ませたいものである。

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