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サンドイッチ

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かつて自分が幼かったころ、
我が家の朝食はパン食であった。

今から30年以上前のことになるので、
当時としては、随分とモダンな家庭だったといえる。
もっとも朝食だけでなく、昼食もパン食のことが多かったので、
ひょっとしたら母親の手抜きだったのかも知れない。
大方の場合は、オーブントースターで焼いた食パンに
マーガリンを塗るだけの、非常に簡素なものであった。
飲み物に関しては、朝は牛乳が出ることもあったが、
昼に関しては紅茶が多かった。
小さなマッチ箱大のプロセスチーズが1つと、
細長いウインナーソーセージが1本ついているのが、常であった。
……。
今考えてみると、随分と栄養が偏っている気がする。
そういう食生活を送っていたせいか、
子供のころの自分は「太る」ということとは全く無縁で、
わりとスマートな体型(ヒョロヒョロともいう)であった。

さすがに母親もそういう食生活はマズいと思っていたのか、
あるいは痩せている自分を見て、
マズいと思ったのかはわからないが、
たまに、サンドイッチを作ることがあった。
朝は忙しいのか、昼食に作ることが多かった。
トマトとキュウリの挟んであるサンドイッチ、
ハムとキュウリのサンドイッチ、
炒り卵とキュウリのサンドイッチなどが定番で、
何故か、どのサンドイッチにも、
キュウリの薄切りが入っていた記憶がある。
味付けも、マヨネーズと塩こしょうだけで、
どれも似通った味になっていたのだが、
何せ、いつもはトーストとマーガリンだけだったので、
たまのサンドイッチは、この上もない御馳走であった。

自分が大きくなり、兄弟が増えると、
さすがにパン食で子供の食欲を満たすのは無理と思ったのか、
自然にご飯食にシフトしていき、パン食もサンドイッチも、
ほとんど作られないようになっていったのだが、
今でも、コンビニやスーパーなどでサンドイッチを買って食べると、
当時の記憶が蘇ってくる。

サンドイッチとは、肉や野菜などの具材を
パンに挟んだものである。
日本では、耳を落とした食パンで作ることが多いのだが、
海外では、食パン以外で作ることもある。
また、パンの間に挟むだけでなく、
パンの上に具材をのせたオープンサンドイッチや、
薄く切ったパンの上に具材を並べ、
これを巻いたロールサンドイッチなどもある。
中に挟む具材を選ぶことによって、
栄養のバランスをとることが出来るので、
海外ではお弁当代わりに昼食として、携帯することもある。
アメリカの国民食ともいえるハンバーガーも、
広義の意味ではサンドイッチだといえる。

パンに具材を挟んで食べるという食べ方は、
かなり古代から、パンのあった地域で
普通に行なわれていたようである。
パンの上に具材をのせる、オープンサンドイッチなど、
それこそパンの誕生と同じころから、行なわれていたに違いない。
だから厳密に、サンドイッチがいつから食べられていたか?
ということについて、はっきりとしたことを述べることは出来ない。

ただ、「サンドイッチ」という名前に関していえば、
余りにも有名な話がある。
そう、サンドイッチ伯爵の話だ。
1700年代に、イギリスの海軍大臣をしていた
サンドイッチ伯爵は、カードゲームが大好きで、
24時間、賭博台に張り付いていたという。
その昔、「24時間戦えますか?」というフレーズがあったが、
このサンドイッチ伯爵は、24時間、
ギャンブルに狂っていたわけである。
海軍大臣としても、人間としても、とんでもない話であるが、
そんな彼が、ゲームをしながら食事をするために、
パンにローストビーフを挟んだものを作らせたことから、
これを「サンドイッチ」と呼ぶようになった、という話である。
飯ぐらいさっさと食え!と突っ込みたくなるが、
この時代のイギリス貴族の食事時間はやたら長く、
朝食に1時間30分、昼食に3時間30分、
夕食には4時間かけていたという。
これだけでも大概なのに、さらにこれに夜食が加わり、
それにも2時間をかけていた。
合計すれば11時間、ということになり、
1日のうちほぼ半分が、食事時間に充てられていたわけだ。
ひょっとして、イギリス人というのは馬鹿なのではないだろうか?

もちろん、異説もある。
少なくとも、当時の海軍大臣といえば、
軍部の最高責任者と考えていい。
そんな身分にあるサンドイッチ伯爵が、
24時間ギャンブルに狂うなんてことが、
果たして出来たのだろうか?
むしろ、当時世界有数の海軍力を持つ国の海軍大臣として、
眠る暇もない忙しさだった、と考える方が自然な気がする。
まさに「24時間戦えますか?」という状況だったわけだ。
だとすれば、彼がローストビーフをパンで挟んだものを
食べていたのは、ギャンブルに夢中になっていたからではなく、
それだけ仕事が忙しく、
11時間も食事をしていられなかったからではないだろうか?

「サンドイッチ」という言葉の語源は、
このサンドイッチ伯爵から来ているというのは、
間違いがなさそうだ。
ギャンブルか、仕事か、いずれかに忙殺された彼が、
それを頻繁に口にし、ついにそれは彼の名を冠するまでになった。
真実は、そういうことのようである。

詰まる所、サンドイッチというのは、
忙しい人のための、簡便な食事と認知されているわけである。
それを考えれば、そのサンドイッチが、
むしろ手のかかったメニューであった我が家は、
一体どういうことになるのか。

そういう母親の血を色濃く継いでいるのか、
自分も、よほど暇なときでなければ、サンドイッチは作らない。

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