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雑感、考察

夜登山

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以前、普段は天気のいい日を選んで行なう「登山」を、
敢えて、雨の日に行なった話を書いた。
今回書く話も、敢えて、おかしな条件で「登山」するもので、
いつもの様に「昼」ではなく、「夜」に山に登る話である。

「登山」というのは、普通、昼間に行なわれる。
ハイキングのような低山登山だろうが、
アルプスのような高山登山だろうが、
朝、日の出とともに行動を開始し、日暮れとともに行動を終える。
日帰り登山の場合は、暗くなる前に下山するのは常識だし、
泊り登山の場合は、暗くなる前に山小屋に入るなり、
テントを設営し、その中に入ったりする。
暗くなってから行動するというのは、基本的にNGで、
もし、山の中で日が暮れてしまった場合、
そこで一切の移動を止めて夜を過ごし、
翌朝、夜明けとともに行動を再開するのが良いとされている。

一方、極わずかではあるが、夜に山を登ることがある。
その1つが、御来迎登山である。
朝、山頂で日の出を拝もうという御来迎登山は、
まだまだ、辺りが薄暗いうちから、山に登り始める。
富士山に登る登山客の多くが、
8合目、9合目の山小屋で夜を過ごし、
翌早朝に山小屋を発ち、山頂で日の出を見ようとするのは、
代表的な御来迎登山である。
また、各地では、元旦に山頂から初日の出を拝もうという
元旦登山が行なわれている。
我がたつの市でも、的場山などで元旦登山が行なわれており、
毎年、多くの登山者が元旦早朝に山頂を目指し、
暗いうちから山道を登って行く。
的場山の場合、登山道が4kmほどあるので、
日の出を山頂で拝もうと思えば、日の出1時間前には
山を登り始めなければならない。
日の出1時間前といえば、まだ辺りは真っ暗であり、
東の空すら暗い時間帯である。
当然、登山者たちは、銘々に懐中電灯なり
ヘッドライトなりを持って、山を登って行くことになる。
もっとも、30分ほど暗闇の中を歩いていると、
だんだんと辺りが明るくなってきて、
懐中電灯もヘッドライトも必要なくなってしまう。
そうなるともう、ただの早朝登山ということになり、
夜登山ではなくなってしまう。

こういう、御来迎登山が盛んに行なわれているのは、
どうも日本独特のものの様で、
日本では、山での「日の出」を特に有り難がるのだが、
西洋では、山での「日暮れ」を重要視する風潮がある。
つまり、山でテントを張り、そこでキャンプしながら
沈み行く太陽を眺めるということである。
どうして、このような価値観が生まれたのかは、明らかでないが、
敢えて理由を考えるとすれば、
日本での1日というのは、
「日の出」を基準に始まっていたのに対し、
西洋では「日暮れ」を基準に始まっていたからである。
(もちろん、西洋の全てが
 そのような価値観を持っていたわけではないだろうが、
 キリスト教がこの価値観を取り入れていたことを考えると、
 かなり一般的なものだったのではないだろうか?)

さて、そういうようなことから、夜の「登山」というのは、
基本的にはほとんど行なわれていないのだが、
もし、普通の昼「登山」の途中で何かトラブルが起こり、
下山が不可能となり、
山で一夜を過ごさねばならなくなるようなことも、
考えられないことではない。
そういう事態に至って、初めて夜の「山」を体験しては、
色々とパニクって、おかしな行動をとってしまうことも、
あり得ない話ではない。
それを避けるために、敢えて「夜登山」を行い、
夜の山を、予め体験しておくというのも、
必要なことかも知れないと、思い至った。

まあ、思い至った理由は、「雨登山」の場合と同じようなものだ。
ただ、「雨登山」の時と違い、「夜登山」はやりやすい。
雨の場合と違って、「夜」というのは
毎日1回は必ずやってくるからである。
夜に何時間か時間を取り、その時間に山に行けば、
「夜登山」というのは、簡単に行なうことが出来る。

簡単に行なうことは出来るものの、
いざ、それをやるとなると「昼」以上に、
しっかりと準備しなければならない。
まず、「夜登山」の最大の難点は、「暗い」ということである。
そして、ある意味これが全てといってもいい。
大方の山には、街灯も何もなく、全くの暗黒の世界だ。
人の住んでいる場所であれば、
それがどんなに田舎であったとしても、
周りを見回してみれば、何らかの光源が目に入ってくるが、
ひとたび山の中に入ってしまえば、
どこを見回しても、光源というものは見当たらない。
空に月でも出ていれば、それがわずかながらでも光源となり、
山道を照らしてくれることもあるが、
雲が出ていたり、頭上に木が生い茂っていたりすると、
全く視界が効かなくなってしまう。
これでは、一歩たりとも、まともに山を歩くことは出来ない。
すなわち、懐中電灯なり、ヘッドライトなり、
何らかの照明を使わなければ、「夜登山」は不可能なのである。

そんなワケで、「夜登山」をするにあたり、
自分はヘッドライトと、小さな懐中電灯と、2つの灯りを用意した。
使うのはどちらか1つだけで充分なのだが、
1つだけしか用意しておかなかった場合、
その光源が何かの事情で使えなくなってしまったとき、
暗い山の中で、立ち往生してしまうことになる。
ヘッドライトは、かつて夜釣り用に購入したもので、
光度調整が効き、かなりの明るさで辺りを照らすことも出来る。
懐中電灯は、自転車の夜間ライトとして購入したもので、
取り外しが出来るため、懐中電灯として使うことも出来る。
光度調整は出来ないものの、かなり広範囲を照らすことが出来る。
さらに「夜」ということで、気温が下がることも考え、
いつもの「登山」時よりも、暖かい上着を着ていくことにした。

要は、灯りと上着だけの準備になったが、
こちらはこれで問題あるまい。

もう1つ考えないといけないのは、
どこの山に登るか?ということである。
少なくとも、全く遠望のきかない「夜登山」なので、
初めての山や、ほとんど登ったことのない山というのは、
問題外である。
何度も登ったことがあり、
よく道を熟知している山でなければならない。
さらにいえば、道もなるべく歩きやすい所がいい。

さらにもう1つ、重要な点として、
「夜景が楽しめる」というのも付け加えることにした。
元々自分は、「山に登る」その過程を楽しむ面が強く、
山頂からの展望には、それほどこだわりを持たないのだが、
辺りが真っ暗な「夜登山」では、「山に登る」過程の楽しみも、
かなり減じてしまっているに違いない。
それを補う意味で、
さらには「山に登る」モチベーションを保つためにも、
「夜景が楽しめる」という条件は必要であった。

それらのことを考えた末、3つの山をリストアップした。
1つ目は「金輪山」、2つ目は「的場山」、
3つ目が「天下台山」である。
どの山も、山頂からの展望を楽しむことが出来、
さらに自分自身が何度も登っているため、ルートを熟知している。
「金輪山」と「的場山」に関しては、
車でも登れる道がついているし、
「天下台山」は、自分が一番良く登っている山なので、
ルートのことを熟知しているためである。

さて、今までにない「夜登山」というスタイル。
はたして、その先には、何が待っているのだろうか。

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