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メロンパン

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四国八十八ヶ所霊場巡り観光、「徳島ラーメン」、
「丸亀城」観光と、駆け足で見て回った後、
我々は、帰宅の途についた。

すでに時間は、午後5時を回っており、
あたりは薄暗くなり始めている。
四国にやって来る際は、たつの市から東へ向かい、
明石大橋を渡って淡路島を縦断、
そのまま鳴門大橋を渡って四国入りしたので、
丸亀から坂出に向かい、そのまま瀬戸大橋を渡って本州に向かえば、
グルリと大きな輪っかを描くようにして、
移動することになる。

坂出から瀬戸大橋に乗り、本州へ向けて車を走らせる。
だが、第1番札所から第3番札所まで、
10kmに近い距離を歩き、さらに「丸亀城」では
大急ぎでプチ登山をしたものだから、
自分も友人も疲れ切っていた。
当然、強い睡魔が襲って来て、
どこかでちょっと休憩を、ということになった。
せっかく瀬戸大橋に渡っているのだから、
休むのなら、その途中にある与島SAで、ということになり、
大きなループを回りながら、与島へと下りて行った。

行楽シーズンの日曜日ということもあり、
与島SAは、かなりの人の入りだった。
SAの建物の前にも、様々な食べ物の屋台が建てられており、
それらに観光客たちが群がっている。
休憩ついでに、土産物屋の中を見て回ったのだが、
こちらの方も、かなりの人が入っており、
人と人の間をすり抜けるようにして、
見て回らなければならなかった。
ひととおり、土産物屋を見て回り、車に帰ろうとしたのだが、
時間はすでに午後6時前である。
ちょっと小腹が減ってきていた。
せっかくだから、SAの前に出ている屋台で
何か買って食べよう、ということになった。

さて、改めて見ると、色々な屋台が出ている。
たこ焼きやお好み焼きなどを扱っている定番屋台や、
牛串や海鮮焼きを扱っている屋台など、
どの屋台も、なかなか美味しそうな匂いを漂わせている。
しかし、そんな様々な屋台が並んでいる中から、
我々2人が選んだのは、「メロンパン」の屋台であった。
……。
屋台というのは、ちょっと語弊があるかも知れない。
その「メロンパン」の屋台は、専用の販売車でやってきており、
その車の横に簡易テントを張り、
その下に置いたガラスケースの中に、
商品である「メロンパン」を並べ、これを販売していた。
まあ、いわゆる「メロンパン」の移動販売だと思えばいい。
数ある屋台の中から「メロンパン」を選んだのは、
「歌」のせいである。
「歌」って、何だよ?と、思われるだろうが、
他の屋台と違い、この「メロンパン」の屋台のみが、
大きな音で、音楽を鳴らしていた。
「メロンパンには、メロンが入ってない」とかいうフレーズの、
子供の歌っている「歌」である。
他の屋台は、美味しそうな匂いを出して客にアピールしている中、
ひとつだけ「音」でアピールをしているのだから、これは目立つ。
それにまんまと引っかかるような形で、
「メロンパン」を買ってしまったわけである。

「メロンパン」は、パン生地の上に甘いビスケット生地をのせて
焼き上げたものである。
関西や四国、中国地方の一部では、
この手の丸い「メロンパン」を、「サンライズ」と呼ぶことは
よく知られているが、少なくとも、自分の周りでは、
このパンは昔から「メロンパン」であり、
「サンライズ」などと呼んだことは、一度も無い。
先に述べた「歌」のように、
「メロンパン」という名前でありながら、
メロンは一切使われていないし、メロンの味も匂いもしない。
では、どこがメロンなのか?というと、
パン生地の上にのせられた、
ビスケット生地に入っている格子模様が、
マスクメロンの模様に似ているため、メロンの名がついたらしい。

「メロンパン」には、別名「サンライズ」とも呼ばれる
丸型のものの他に、紡錘型状のものがある。
関西などの「サンライズ」呼びをする地域では、
この紡錘型状のものを「メロンパン」と呼んでいるようだ。
紡錘型状では、「見た目」的にも、
全然メロンに似ていないようにも思えるが、
ここでいうメロンとは、
一般的にイメージされるマスクメロンではなく、
マクワウリのことである。
なるほど、それなら紡錘型状でも納得ができる。
西播地方には、マクワウリに似た「網干メロン」があるが、
紡錘型状のメロンパンは、いわば「網干メロンパン」だろう。
こちらの「メロンパン」は、1960年代にコープ神戸の
パン職人がオムライスの型を見て思いついたという。
丸型の「メロンパン」と違い、中にはマーガリンを加えた
白あんが入っている。

では、我々の良く知っている、あの丸型の「メロンパン」は、
いつ、どこで作られたのだろうか?
調べてみた所、「メロンパン」の起源は複数存在している。
それらを挙げてみよう。

・1910年、アルメニア人のパン職人が、
 フランス菓子・ガレットを元にして作り上げた。
・メキシコの菓子・コンチャが元になっている。
・ドイツの菓子・ストロイゼルクーヘンが元になっている。

どれも外国由来の説となっている。
フランス菓子のガレットは、本来、クレープ状の薄焼きであり、
日本の「メロンパン」とは、全く関係がないように思える。
しかしガレットの中には、クッキーのようなものがあるので、
元になったということになれば、恐らくはこちらの方だろう。
メキシコ菓子・コンチャを調べてみると、
なるほど、これは確かに「メロンパン」によく似ている。
ただ、表面に刻まれている模様は、
「メロンパン」の様な格子模様ではなく、
渦巻き状のものや、太陽の形を象ったものなどが多いようだ。
ドイツ菓子・ストロイゼルクーヘンも、丸型のものは、
かなり「メロンパン」に似ている。
通常のパン生地の上に、異なる生地をのせて焼いているのが
一見して分かる出来上がりである。

「メロンパン」としての元祖ではなく、
「サンライズ」としての元祖は、1930年代に作られたらしい。
はっきりとはわからないが、広島県の呉で作られたという説もある。
それによれば、もともとは格子状の模様ではなく、
軍艦旗の放射模様が入っていたため、
「サンライズ」の名がついたという。
やがて、放射模様より、格子模様の方がつけやすいため、
そちらの方が一般的になって行ったのだが、
名前の方は「サンライズ」のまま、変わることは無かった。
ただ、格子状の模様がマスクメロンに似ていたため、
後にこれを「メロンパン」と呼ぶようになったと言うことである。

これらの説を見比べてみると、
やはり1930年代に「サンライズ」として作られたものが、
現在の「メロンパン」の直接的な元になっているのは、
間違いが無いようである。
ひょっとしたら広島で生まれた「サンライズ」が、
全国へ広まって行くうちに、
どこかで神戸の「メロンパン」と混同され、
そちらの方の名前で広がって行ったのかも知れない。
いずれにしても、「メロンパン」のメロンは、
型状を指し示している言葉なのは、間違いがなさそうだ。

さて、与島SAで食べた「メロンパン」は、
ほんのりとした優しい甘さで、疲れた身体には
シミジミとしたウマさであった。
自分はキャラメルフレーバー、友人はチョコフレーバーと、
2人ともちょっと変わったフレーバーの
「メロンパン」を食べたのだが、
これには、ちょっとした理由がある。
全く普通の、ノーマルな「メロンパン」もあったのだが、
それに「萌え萌えメロンパン」とか、
そんな感じの名前がついていたのだ。
さすがにいい歳した男が、
それを口に出して注文するのも恥ずかしく、注文しなかったのだが、
出来うるならば、もうちょっと注文しやすい商品名に
してもらいたいものである。

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