雑学、雑感、切れ味鋭く、思いのままに。

Falx blog 2

歴史 雑感、考察

四国八十八ヶ所霊場巡り〜その3

更新日:

四国八十八カ所霊場の、第2番札所「金泉寺」での
お参りを済ませた自分たちは、
案内表示に従って、第3番札所への道を歩き出した。

が、その細く曲がりくねった道を進んでいくと、
やがて道は墓地の中へと入っていった。
友人が、「道、間違ってるんじゃないか?」と不安そうだったが、
案内板には「墓地の中を通ります」と書いてあったので、
構わず、先導するように墓地の中を歩いていった。

墓地には、近隣の住民の墓が建っている。
それらを良く見てみると、全て「○○家之墓」と刻まれており、
こちらでよく見るような、浄土真宗系の「南無阿弥陀仏」と
刻まれた墓が見当たらない。
やはり、弘法大師・空海の出身地であり、
八十八カ所霊場巡りの本場だけあって、
そのほとんどが、真言宗の宗徒なのかも知れない。
山の斜面を横切るようにして進んでいくと、
ようやく、下り坂になり、舗装された一般道に出た。
すぐ傍のガードレールの端っこに、
「第3番札所「金泉寺」まで、2.6km」と書かれている。
「極楽寺」から「金泉寺」までは、おおよそ3kmの道のりなので、
墓地の中を400mほど歩いたことになる。

近隣住民の生活道路と思わしき道を、
友人と2人、テクテクと歩いていく。
前後を見るが、歩いているのは自分たちだけで、
他に「お遍路さん」らしき姿は見当たらない。
存外、歩いて回る「お遍路さん」は少なく、
皆、何らかの移動手段を使っているのだろうか?
しばらく歩いていくと、
向こう側から歩いてくる「お遍路さん」がいる。
格好は普段着に白衣を羽織っているスタイルで、
背中に巨大なバックパックを背負っている。
まるでどこかの山に登る、登山者の様である。
歩いている方向から考えると、
第3番札所から第2番札所を目指しているようだ。
完全に逆回りである。
四国八十八ヶ所霊場巡りには、
第1番札所から第88番札所を目指す
「順打ち」と呼ばれる回り方の他に、
これとは逆に、第88番札所から第1番札所を目指す
「逆打ち」と呼ばれる回り方がある。
この「お遍路さん」は、「逆打ち」で回ってきたのだろう。
と、いうことは、残る札所は自分たちが先ほど回ってきた
「霊山寺」と「極楽寺」だけである。
距離にしても、わずか2~3kmほどである。
もう、八十八カ所コンプリートは目前、というわけである。
きっと心の中は、はやり立っていたことだろう。

さて、「逆打ち」の「お遍路さん」とすれ違ってから、
さらに30分ほど歩くと、近くにJAの直売所がある
大きな道へと出た。
道は、巡礼路と交差するようにして、北の山の上へと続いている。
巡礼路の方向を表す標識が設置されていないので、
ここをまっすぐ行ったものか、曲がって行くものかよく分からず、
ちょっと迷った末に、まっすぐ進んで行った。
近くの人に聞いてみると、どうやら道はこちらが正しいらしい。
その人に近道を教えてもらい、その近道を通って
「金泉寺」へと辿り着いた。

第3番札所であるこの「金泉寺」も、こじんまりとした寺で、
境内の中には、数人の「お遍路さん」と観光客がいる。
何人かの「お遍路さん」の集団が、
本堂の前で、声を揃えて読経している。
よくこんなに声を合わせられるものだと感心しながら、
横で友人と2人、お参りを済ませる。

これで、今回の「巡礼」のモノマネ観光は終わりである。
ちょうど時間は、昼の12時。
昼飯時なので、このまま南に歩いて行って、
県道12号線まで出て、そのまま12号線を東に向かって歩き、
道の駅「第九の里」の駐車場まで戻る。
途中、昼飯を食べられそうな店があれば、
そこに入って昼飯を食べる、という風に決めた。
せっかく徳島まで来たのだから、
有名な「徳島ラーメン」を食べよう、ということになり、
12号線沿いを、ラーメン屋を探しながら歩くことになった。
出発地点までは約4km。
歩いて行くことを考えれば、所要時間は1時間といった所か。
県道12号線は、幹線道路らしいので、
4kmも歩けばラーメン屋の1つや2つくらいは
あるだろうと考えていたのだが、これが甘かった。
歩けど、歩けど、ラーメン屋はおろか、食べ物屋もほとんど無い。
いや、食べ物屋どころか、自動販売機すらロクにないのである。
恐るべきド田舎といえる。
そんなド田舎でも、4km歩くうちに
コンビニエンスストアが2つもある辺り、
現代日本のおかしな所といえるだろう。
南にだだっ広い徳島平野を見ながら、
ジリジリと照りつける太陽の下を、歩いて行く。
あちこちと回り、もう10km近くは
歩いているのではないだろうか?
山歩きには慣れている自分も、硬いアスファルトの舗装道路の上を
延々と歩き続けるのは、結構キツい。
友人などは、もうフラフラになっている。
2人して、クタクタになりながら、道の駅の駐車場に辿り着いた。

車やバス、電車などの移動手段を使うのならばともかく、
歩いて巡礼するというのは、かなりの難行である。
巡礼を始める前に、充分に歩く訓練をして足を慣らし、
さらに足回りの準備をしっかりしておかなければ、
とても八十八カ所を歩いて回り切ることは出来ないだろう。
どうも気軽な気持ちではじめても、
そうそう達成できるものではないようだ。
オリエンテーリング気分で気楽にできる、
スタンプラリーではないということである。

ただ、誰も知り合いのいない四国という土地を、
時間をかけてひと回り歩くというのは、
正直、ちょっと魅かれる所が無いでもない。

存外、本格的に徒歩で「お遍路さん」をしている人の中には、
そんな人が多いのかも知れない。

Related Articles:

にほんブログ村 その他生活ブログ 雑学・豆知識へ
にほんブログ村

スポンサーリンク
スポンサーリンク

-歴史, 雑感、考察

Copyright© Falx blog 2 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.