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三匹が斬る!

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ドラマや映画、マンガやゲームなどのシリーズものの場合、
それぞれ、個々の作品には同じタイトル、
あるいはよく似たタイトルがつけられるのが一般的である。

例えば、ゲームソフト「ドラゴンクエスト」シリーズや、
「ファイナルファンタジー」シリーズでは、
第1作目は、そのまま「ドラゴンクエスト」、
「ファイナルファンタジー」の名前そのものとなっているが、
第2作目以降は、それぞれタイトルの後に
「2」「3」「4」……と、ナンバーがつけられている。

テレビドラマ「相棒」シリーズでは、
第1作目は「相棒」だけだが、第2作目以降は
「season2」「season3」「season4」などと、
「season」とナンバーを合わせたものになっている。
「season」とは英語で「季節」を意味する言葉だが、
これには「時期」という意味もある。
そこから「season2」などは、
「第2期」という意味を持つことになる。

一方、作品名はそこそこ似通っているのだが、
シリーズを通したナンバーを、つけない作品も存在している。
特撮番組「ウルトラ」シリーズなどは、
第2作目のタイトルが「ウルトラセブン」である。
この「セブン」が「7」の意味をもっているので、
普通に考えた場合、シリーズ7作目と勘違いされそうだ。
「ウルトラ」シリーズはこの後も、
「帰ってきたウルトラマン」「ウルトラマンA」
「ウルトラマンT(タロウ)」「ウルトラマンレオ」と、
ナンバリングとは、全く関係のないタイトルが続く。
後に「ウルトラマン80」なんていう作品も作られるが、
もちろんこれも、シリーズ80作目ということではない。

「ウルトラ」シリーズと双璧を成す特撮番組、
「ライダー」シリーズも、同じようなことになっている。
第1作目は、そのまま「仮面ライダー」というタイトルだが、
第2作目にして「仮面ライダーV3」となる。
うっかりすると、シリーズ3作目と勘違いしそうな所だが、
シリーズ第3作目は「仮面ライダーX」となる。
「X」はローマ数字で「10」を表しているが、
この場合、まったく「10」とは関係がない。

だが、この辺りについては、仕様のない所もある。
「シリーズもの」といっても、作品ごとに主人公が変わっている。
その新しい主人公の名前を、タイトルに持ってくることによって、
その知名度を、ガンガン上げていかなくてはいけない。
「仮面ライダーV3」が「仮面ライダー2」というタイトルでも、
「ウルトラセブン」が「ウルトラマン2」というタイトルでも、
やはり違和感を感じざるを得なかっただろう。

時代劇などの場合、同じキャラクターが主人公を務めている場合、
やはり、作品タイトルにナンバーをつけるのが一般的である。
「暴れん坊将軍」は「Ⅱ」「Ⅲ」「Ⅳ」と、
ローマ数字がタイトルについているし、
「水戸黄門」の場合は、「第2部」「第3部」「第4部」と、
それぞれのシリーズにつけられている。
(ただし、番組中ではただ「水戸黄門」とだけ、クレジットされる。
 新番組予告などでは、「水戸黄門 第〜部」と、表記された。
 「水戸黄門」の場合は、長期シリーズとなった
 「ナショナル劇場」版以外にも、TVシリーズが存在している)
時代劇などの場合、シリーズが変わっても
主人公が同じ場合が多いので(役者が変わることはあるが……)、
このような形になっているのである。

ところが、そんな時代劇の中にあって、
シリーズの主人公が同じであるにも関わらず、
作品タイトルに統一性がなく、バラバラなものが存在する。
それが「三匹が斬る!」シリーズである。

「三匹が斬る!」というのは、1987年から放送が始まった、
時代劇シリーズである。
矢坂平四郎、久慈慎之助、燕陣内、吉良右近の
4人の浪人たちによる、痛快時代劇である。
……。
いや、4人いるなら「四匹」じゃないか、と突っ込まれそうだ。
実は、レギュラーこそ4人いるものの、
1シリーズで活躍するのは、この中の3人だけなのである。
と、いうよりは、もともと三匹というのは、
吉良右近を除く3人のことであり、
全7シリーズのうち、第5シリーズまでは、
その3人で話が進んでいたのだが、
第6シリーズになり、3人のうちの1人、久慈慎之助が
役者の都合(?)によって出演できなくなり、
その穴を埋めるために、新キャラクターとして
吉良右近を登場させたのである。
第7シリーズになると、久慈慎之助が帰ってくるのだが、
入れ替わりに矢坂平四郎が出演できなくなったため、
この2人が入れ替わることで、三匹を維持していた。
ストーリーは、旅をしている3人の浪人が、
旅先で悪党たちを懲らしめていくというだけの話なのだが、
3人の掛け合いが楽しく、コミカルな面が強かったために、
非常に楽しい時代劇である。

……。
話がそれた。
問題は、シリーズごとのタイトルである。
このタイトルを、第1作目から1つずつ見ていこう。

まず、第1作目の「三匹が斬る!」。
これは、特に何の問題もない。

第2作目になると、続編ということで、
「続・三匹が斬る!」となる。

さらに第3作目、「続続・三匹が斬る!」となる。
第2作目のタイトルを「三匹が斬る!2」とでもしておけば、
もっと話は簡単だったものの、
下手に「続」なんてつけたものだから、
かなりおかしなタイトルになってしまった。

この流れで行けば、第4作目は
「続続続・三匹が斬る!」になるはずであるが、
そうはならず「また又・三匹が斬る!」となった。
さすがに「続」を3回続けるわけにもいかず、
タイトルの路線変更となった。

そして第5作目の「新・三匹が斬る!」。
ここにきて、突然の「新」である。
シリーズ最新作なのは確かだが、
相変わらず次のことを全く考えていない。

第6作目は「ニュー・三匹が斬る!」。
まさかの英語である。
意味は第5作目のものと全く同じ。
いよいよ迷走の度合いが酷くなってきた。

第7作目になると、路線を変更したのか、
「痛快・三匹が斬る!」となった。
本来ならば、「痛快」の後にも「!」を入れたい所だが、
「三匹が斬る」の後にも「!」が入っているため、
同じ記号が重なるのを嫌ったのか、勢いのない「痛快」となった。

こうなってくると、第8作目のタイトルが楽しみにすらなってくるが、
シリーズはここで終了、ということになってしまった。
ひととおり並べてみても、めちゃくちゃなタイトルのつけ方である。
これでストーリーがコミカルなものでなく、
シリアスなものだったら、全く締まらないことになっていただろう。

「ニュー」と「痛快」において、
レギュラーキャラクターの入れ替えが行なわれたが、
結局、これが定着することなく、シリーズは終了となってしまった。
レギュラーメンバーが、仕事の都合で次々に抜けていくというのは、
それだけこの番組に人気があり、
出演者に新たなチャンスが舞い込んだということだ。
だとすれば、この「三匹が斬る!」シリーズは、
役者にとっては、幸運をもたらす番組だったのかも知れない。

後に、「三匹が斬る!」のタイトルはそのままで、
番組がリニューアルされることになったが、
キャラクターも出演者も、全て刷新されており、
それまでのような楽しい掛け合いもなく、
コミカルさにかけていたためか、
新たにシリーズ化されることなく、単発で終わっている。

現在、サンテレビの「三匹が斬る!」シリーズの再放送を見ながら、
今はほとんど全滅してしまった「チャンバラ時代劇」の楽しさを
懐かしく思う次第である。

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