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食べ物

世界のパン〜インド・中国・ロシア

更新日:

これまでは1回につき、1つの国のパンを紹介してきたのだが、
今回は、3つまとめての紹介になる。

まずは、アジアの国の中から、カレーの故郷・インドである。
いや、そもそも、インドにパンなんかあるの?と、
思っている人もいるのではないだろうか。
もちろん、インドにもパンはある。

インドのパンの中で、もっとも有名なものが「ナン」だろう。
インド料理の店に行けば、
カレーと一緒に供されることも多いし、
最近では、パン屋などでも「ナン」を販売していることがある。
全くプレーンな「ナン」を販売していることもあれば、
カレーペーストを塗ってあるものや、
トマトソースやチーズをのせて、ピザの様にしたものもある。
本場・インドや、インド料理の店で出されるものは、
少しずつちぎりながら、カレーなどの汁物につけたり、
野菜を挟んだりして食べることが多い。
最後に、皿を拭ってきれいにする役割もある。
もともと「ナン」とは、ペルシャ語で「パン」という意味である。
このことからも分かるように、
同様のものはパキスタン、アフガニスタン、イランなどでも
食べられている。
形などは、国や地方によって違っているが、
日本でもっとも知られているものは、木の葉型のものである。
これは主に、北インドで食べられているもので、
生地を、タンドールという窯の内側に、
ピッタリと貼付けて焼くので、この形になる。
冷めると固くなる性質があるので、
店などでは焼きたてのものを提供している。

「ナン」と同じ生地を、丸く成型し、油をかけながら揚げると、
「バトゥーラ」という揚げパンになる。
これはインド全域で食べられているが、
主に北インドでは朝食として、好んで食べられている。

小麦の全粒粉で作った無発酵の生地を、
鉄板で焼いたものが、「チャパティ」である。
発酵した生地を、大きな窯・タンドールで焼く「ナン」と違い、
無発酵の生地を、鉄板で焼く「チャパティ」は、
家庭などでは、より一般的なパンである。
やはり、カレーや紅茶などと一緒に、ちぎって食べる。

中国のパンには、他の国にはない大きな特徴がある。
それが「蒸して」作る、という点である。
そんな「蒸しパン」の中で、
もっとも有名なものが「饅頭」だ。
日本ではこれを「まんじゅう」と呼ぶが、
中国ではこれを「まんとう」と呼ぶ。
日本のものには、小豆餡や、肉餡が入っているものしかないが、
中国のものには、全く何も入っていない。
中に具材を包んだものは「包子(パオズ)」と呼ばれる。
中国では、この中に何も入っていない「饅頭」を、
おかずと一緒に食べる。
つまり、日本人が白飯を食べるのと同じように、
具の入っていない「饅頭」を食べるのである。
小麦粉で作った生地を「蒸す」という方法は、
欧米では馴染みがうすくいため、
この手の「蒸しパン」は、東洋ならではの調理法といえる。
「老麺」と呼ばれる、すでに発酵した生地をとっておいて、
新たに生地を作る際にこれを混ぜ込み、生地を発酵させる。
しかし最近では、イースト菌を使った「饅頭」も
作られているようである。

また、「饅頭」と同じ生地を、
クルクルと巻いて蒸し上げたものは
「花巻(ホワチュアン)」と呼ぶ。
巻く際に、レーズンやネギなどのトッピングを加えることもある。

生地に、卵と砂糖をたっぷり使ったものを蒸し上げると、
「マーラーカオ」と呼ばれる、蒸し菓子パンになる。
原料からすれば、「蒸しカステラ」といってもいいかも知れない。
黒糖を使ったものや、ココナッツパウダーを使ったものなど、
様々なアレンジが加えられたものが、売られている。
たまに、日本のスーパーのパン売り場などでも
見かけることがある。

ロシアのパン、となると、
まず「黒パン」ということになるだろうか。
これはドイツのパンと同じく、
小麦とライ麦を原料として作られたパンであるが、
その他にも小麦と蕎麦を原料にした「黒パン」もある。
これらに対し、小麦のみを使って作られたパンを「白パン」と呼ぶ。
ドイツの「ライ麦パン」を、
日本のパン屋で見かけることがないように
ロシアの「黒パン」も、日本で見かけることは、まずないだろう。
「ライ麦パン」の特徴として、
クラム(パンの中身)がみっちりと詰まっており、
独特の酸味と香りがある。
「ライ麦パン」の特徴として、
5~10㎜程度の薄さに切り分けて食べる。
サワークリームをつけて食べたり、
ボルシチなどに添えられることが多いが、
キャビアなど塩気の強いものや、ハーブとの相性が良く、
これらの具を上にのせて、オープンサンドにして食べることが多い。

もうひとつ、ロシアで有名なパンが「ピロシキ」である。
日本で「ピロシキ」といえば、挽肉などの具材を生地で包み、
油で揚げたものをイメージするが、
本場・ロシアでは、焼いて仕上げた「ピロシキ」も存在している。
というよりは、多種多様な「ピロシキ」では、
むしろ揚げて作るものよりも、焼いて作るものの方が多い。
地域的な特徴をいえば、
ヨーロッパに近い地域では、焼いた「ピロシキ」、
シベリア地域では、揚げた「ピロシキ」を食べることが多い。
中に入っている具材にしても、特にこれといった決まりはなく、
挽肉や旬の野菜を始め、ゆで卵やキノコ、
さらにはご飯を具材にすることもある。
いわば、炭水化物で炭水化物を包むわけで、
「お好み焼き定食」や「焼きそば定食」に拒否感を示す人なら、
怒り出しそうな組み合わせである。
さらに、先に挙げたようなものばかりではなく、
甘く煮込んだ果物を包んで揚げた、
お菓子としての「ピロシキ」も存在している。
もともとはロシアの家庭料理として発展したパンであったが、
徐々に世界中に知られていき、
現在では、もっとも有名なロシア料理となった。
町中のファストフード店などで販売されていることが多いが、
近年では、フォーマルな場でメイン料理として
供されることもあるという。

「ナン」を始めとして、ペッタンコなパンの多いインド。
「蒸しパン」が支配的である中国。
「ライ麦パン」を中心とした黒パンの多い、ロシア。

それぞれ、パンの種類こそ多くないかもしれないが、
かなり、しっかりとした特徴を持ったパンばかりである。

やはり、「国」それぞれの特徴が現れるのが、
「パン」という食品であるようだ。

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