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ミラクル・クッキング

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By: yoppy

「食べ物」について、書かれた本を読むことが多い。

自分が図書館で借りてきた本のタイトルを見返してみると、
「食」に関するものが、他のジャンルに比べても
かなり多くなっている。
ここ最近で借りて来た、
「食」関係の本のタイトルを挙げてみると、

「ごはん通」
「強火を止めると、誰でも料理がうまくなる」
「魯山人味ごよみ」
「魯山人料理控」
「短時間で作れる!焼かないケーキ」
「ニッポン定番メニュー事始め」
「服部幸応の『食のはじめて物語』」
「蕎麦屋の常識・非常識」
「にほんの食ごよみ」

と、こんな感じである。
ざっとここ1ヶ月ほどで読んだ、「食」関係の本なのだが、
「食」という大きなテーマはあるものの、
歴史あり、雑学あり、レシピあり、料理法あり、
哲学ありと、実に節操のない乱読ぶりである。
大方は、書架の「食べ物」コーナーを見て、
気になったタイトルを片っ端から読んでいるのだが、
それでもまだまだ、図書館の書架には
読んでみたいタイトルがたくさんある。
(食べ物の本しか読んでいないじゃないか、
 と思う人もいるかも知れないが、
 実はここに挙げた「食」関連の本よりも多く、
 他のジャンルも読んでいるのである。
 我ながら呆れるほどの活字中毒であり、
 いちいち本を購入していられない、というのが、
 理解してもらえるだろう。
 これだけの書籍を全て購入していたら、
 あっと言う間に破産してしまう)

やはり「食」というのは、多くの人間にとって
興味のある分野であるらしく、
図書館の「食」関連書籍は、他ジャンルに比べても
随分と多くの書籍が用意されている。

先日、図書館の「食」の本が並んでいる書架を見ていると、
「川越達也のミラクル・クッキング」というタイトルがあった。
川越達也。
この名前を知らない人は少ないだろう。
一時、TVなどでも引っ張りだこだった有名シェフで、
いろんなメーカーと提携して、様々な食品をプロデュースしていた。
その全盛期には、スーパーやコンビニなどに行けば、
商品の棚には川越シェフの写真入りの様々な商品が陳列されており、
あの女性ウケする爽やかスマイルで、顧客を見つめていた。
あー、あの人、本も出してたんだなー、と、
何気なく書架から「その本」を取り出してみた。
表紙には、鍋とオタマを握った川越シェフが、
例の爽やかスマイルをこちらに向けてきている。
……。
目が合ってしまった。
自分が女性であれば、思わずキュンと来るのかも知れないが、
さすがに自分と同年代の男性から、
爽やかスマイルを向けられても、反応に困るというのが、
正直な所である。
川越シェフは、白い厨房着を着ておらず、
青いシャツを第2ボタンまで開けて、胸元をちらりと見せている。
自分が女性であれば、キャー、ステキ!となるのかもしれないが、
さすがに自分と同年代の男性から、
胸元をチラリと見せられても、反応に困るというのが、
正直な所である。
ペラリと表紙をめくってみると、ページの真ん中に川越シェフ。
さらにもう1枚めくってみると、鍋を構える川越シェフである。
かつて自分も、有名なシェフの書いた本をたくさん読んできたが、
ここまでシェフが露出しているものは、前代未聞である。
何だか楽しくなってきて、思わず笑いがこみ上げてきた。

この「川越達也のミラクル・クッキング」は、
市販のお惣菜などにさらに手を加えて、
ちょっとした御馳走にしてしまおう、
というコンセプトの本である。
メニュー自体はどれも凄く簡単で、料理経験の少ない人でも
どうにかなりそうなものばかりが載っている。
文体についても、形式張ったものが無く、
まるで川越シェフが自分のファンの女性に語りかけるような
甘い文体である。
自分が女性であれば、思わず蕩けてしまうのかも知れないが、
さすがに自分と同年代の男性から、
甘い文体で語りかけられても、反応に困るというのが、
正直な所である。
1つのメニューを4ページ使って紹介しているのだが、
このうち1ページは料理の写真、
1ページが材料の分量で、
さらに1ページで作り方が紹介されている。
そして残りの1ページが川越シェフが完成品を手に持った
全面写真である。
つまり2~3枚、ページをめくるごとに、
川越シェフの全面写真が目に飛び込んでくることになる。
もちろん、全てあの爽やかスマイルである。
……。
正直に言ってしまおう。
それを見たとき、図書館の中であったにもかかわらず、
思わず吹き出してしまった。
図書館の中でなかったら、
それこそ腹を抱えて笑い転げていたかも知れない。
この「川越達也のミラクル・クッキング」においては、
料理の写真と同じか、それ以上の割合で
川越シェフの写真が大量に掲載されている。
もちろん、どれも例の爽やかスマイルである。
料理本なのか、川越シェフの写真集なのか、
判然としない所があるが、別の見方をしてみれば
この2つが1つにまとまった、お得な本であるともいえる。
なるほど、そうくるかと、納得してしまう本の作りであった。

ここまで強烈な本だと、女性はともかく、
男性ならすぐに書架に戻してしまうだろう。
しかし自分は、こういう「キワモノ」的な本を見てしまうと、
ムラムラと読みたくなるという、悪癖がある。
すぐさまこの本を借りようと決め込んだのだが、
さすがにいい歳した男が、
川越シェフ爽やかスマイルが表紙のこの本を
ただ1冊だけ借り出すのは、色々と障りがあるような気がした。
すぐに他に読みたい本を2~3冊チョイスして、
それらの本に挟み込むようにしてこの本を借りた。

で、早速、家に帰って
この「ミラクル・クッキング」を読んだのだが、
先に述べたように写真が多いのと、
(半分以上は川越シェフの写真なのだが……)
普段、本を読まないような層に配慮したのか
文章も簡便で量も少ない。
ほんの1時間もたたないうちに、読み切ってしまうことが出来た。

やはり、第1印象で感じた通り、
この本は川越シェフファンである女性に向けて書かれている。
しかし、最後まで読んでみると、
そういった女性たちが、
「男性の心をつかむため」のメニューとしても
この「ミラクル・クッキング」に載せているメニューは有効らしい。
つまり言い換えてみれば、本そのものは女性向けであるが、
メニューそのものは「男性向け」と考えても良いようだ。
たしかに市販のお惣菜を使ったメニューとして、
「とんかつ」「唐揚げ」「メンチカツ」を
アレンジしたメニューが載っていたが、
これらはわりとガッツリとしていて、男性向けといえるだろう。

そうなると、あれだ。
料理が男性向けということは、
本の中で料理を持ち、例の爽やかスマイルを浮かべる
川越シェフの視線の先にいるのは、女性ではなく、
男性ということになるのだろうか?

色々と怖くなってきたので、ここで筆を置こう。

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