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ジョージ・マロリー

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今までに、何度か山の記事を書いてきた。

だいたいが地元、兵庫県たつの市近辺の山についてだ。

一応、自分の登頂経験をもとにして書いているので、自然とそうなる。

今回は同じ山の記事を書くにしても、ちょっと視点を変えてみたいと思う。

紹介するのは山ではなく、登山家である。

今回は登山家紹介の第1回目なので、ある程度有名な人を紹介する。

イギリスの伝説的登山家、ジョージ・マロリーである。

さて、一般の人はジョージ・マロリーと言われても「?」となるだけだろう。

山についてある程度の知識のある人間ならば、ピンと来るのだが

そうでなければ全く関心のない名前だと思う。

が、そんな人でも次の台詞は聞いたことがあるはずだ。

「あなたは何故、山に登るのか?」

「そこに山があるからだ」

これは一種の定型句の様なもので、「そこに~があるからだ」というのは

~の部分を変えて、日常生活でも大いに使われている。

この話の「そこに山があるからだ」を言ったのが、マロリーである。

日本においては、マロリーはその名前よりも、この台詞の方が有名な感がある。

では、このマロリーが、「そこに山があるから」という理由で登ろうとしていた

山は一体どこだったのか?

答えはエベレストである。

マロリーの生きていた当時、エベレストはまだ誰も登ったことのない、

未踏峰であった。

測量技術の発達によって、エベレストが世界最高峰であることが

明らかになった。

だが、エベレストはその過酷な自然条件によって、

世界中の登山家達の登頂を阻んできた。

何といっても海抜8000m以上である。

気温は100m高くなるごとに0.6度低くなる。

8000mも上がれば、地上の温度より50度近く低くなることになる。

これではどんな真夏であっても、頂上付近はいつも氷点下の世界だ。

それだけではない。

高度が上がれば上がる程、気圧が低くなる。

これによって高度障害と呼ばれる現象が起きる。

これは2000mを超える山に登った時に、起こる可能性があるそうだから、

日本国内の山といえども安心はできない。

事実、富士山では毎年かなりの数の登山者が、この高度障害のために

登頂を断念している。

これを克服するためには、低い気圧に徐々に身体を慣らしていくしかない。

高度順化である。

これは当然のようにエベレストでも起こる。

8000m級の山の山頂付近だと、空気の薄さは地上の3分の1程しかない。

健康な人であっても、これはこたえる。

これに対抗するには、空気ボンベで酸素を吸いながら登っていくしかない。

おわかりだろうか?

氷点下何十度の極寒の世界で、さらに薄い空気に耐えて山に登るのだ。

まさにこの世の地獄と言っていい。

さらにこの極限の世界で死んだ場合、誰もその死体を回収することができない。

誰がそんな極限の世界で、貴重な酸素を消費して、

重い死体を回収するだろうか?

エベレストの山頂付近には、こういった遭難者の死体がゴロゴロしている。

気圧の低い極寒の世界であるために、遭難者の遺体は凍り付いたまま

腐ることもなく、極限の世界に放置されている。

マロリー達がエベレストに挑んだ1920年代、

そこはまだ誰も登ることのできない、まさに死の山だったのだ。

1924年、第3次イギリス遠征隊の一員として

ヒマラヤにやってきたマロリーは、相棒のアーヴィンとともに山頂にアタック。

途中、第5キャンプ付近からエベレストに登っているマロリーと

アーヴィンの姿が確認されている。

が、それが生きてマロリーが確認された、最後の姿になった。

エベレストにアタックした2人は、いくら待っても帰ってくることはなく、

やがて遠征隊は2人が遭難事故に遭い、命を落としたと判断した。

それから遅れること約30年、同じイギリス隊のヒラリーと

シェルパのテンジンによって、エベレストの初登頂は果たされた。

公的な記録としては、これがエベレストの人類初登頂となっている。

だが、1924年、エベレストに消えたマロリーとアーヴィンが

エベレストの頂きに達したのかどうか、未だに激しく議論されている。

が、個人的に言えば、登山は生きて帰ってきて終了すると考えているので、

やはり無事に生きて帰ってきたヒラリーとテンジンこそが、

エベレスト初登頂を名乗るべきだと思う。

仮にマロリーがエベレストに登頂した確証が見つかったとしてもだ。

実はエベレストで姿を消したマロリーは、75年の年月を経て発見されている。

1999年に捜索隊が組織され、それによりマロリーの遺体は発見された。

頂上付近の北壁において、うつぶせの状態で見つかった。

その際、マロリーの装備を見た捜索隊の隊員は、その装備の貧弱なことに

驚いたという。

この辺りの顛末は「そして謎は残った~伝説の登山家マロリー発見記~」に

詳しく書かれているので、興味のある方はご一読を。

……いきなりマロリーの遺体の写真がバンッと出てくるので、

心臓に自信のない方はご注意を。(グロかったりはしないので安心を)

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