雑学、雑感、切れ味鋭く、思いのままに。

Falx blog 2

歴史 食べ物

チューインガム

更新日:

日本では、「チューインガム」は悪者扱いされている。

もちろん、チューインガム死すべしとか、
チューインガム排斥運動なんていうことは行なわれていないが、
ガムを噛んでいると、どことなく不真面目だ、
などという見られ方をする。
野球の世界では、集中力を高めるためという理由で、
プレイヤーがガムを噛みながらプレイしている姿を見かける。
ただ、これにしても、日本ではプロ野球選手の
一部が行なっているだけで、
高校野球や少年野球などを見ている限りでは、
ガムを噛んでいる選手というのは、皆無である。
(実際にはルールで定められているわけではないので、
 高校野球でもガムを噛んでも良いようである。
 非常に少ない例ではあるが、高校野球の選手が試合中に
 ガムを噛んでいたという話もある)

野球以外のスポーツに目を向けてみると、
試合中にガムを噛んでいる、というのはちょっと思い浮かばない。
調べてみた所、サッカー選手の中には
ガムを噛みながらプレイしている選手もいるようだが、
やはり、そういう選手は少数派であるようだ。
よくよく考えてみれば、動きの激しいスポーツであれば、
口の中にガムがあると、うっかり飲み込んでしまったりすることも
あるかもしれない。
普通に胃の中にいってくれれば良いが、
うっかりと気管の方へ詰まったりするようなことになれば、
それこそプレイどころの話ではなくなるだろう。
そういう風に考えると、プレイ中にガムを噛めるのは、
常時、激しく動き回っているようなスポーツではなく、
静と動を兼ね備えているスポーツである必要がある。
野球などは、それらの条件を備えているのだろう。

では、ガムを噛むという行為に、どういう効果が期待出来るのか?
もっとも良く語られる理由は、
「緊張を和らげ、集中力を高める」というものである。
ガムを噛んでいると、自然とそちらに意識がいくため、
緊張をほぐす働きがあり、また、脳への血流が良くなるため、
集中力が向上するという。

さらに「脱水症状や、吐き気を防ぐ」というものもある。
口の中でガムを噛んでいると、唾液を絶えず分泌しているため、
口の中が乾きにくく、脱水症状にならないという。
また、水分不足からくる気分の悪さを防ぐことから、
吐き気を防ぐともいわれる。
体外から水分を補給しているわけではないので、
身体の水分総量が増えているわけではないのだろうが、
口の中の乾きを抑えることにより、
気分的な充足感を得るということだろうか?

さらに「歯を守る」という効果もあるとされる。
え?ガムって虫歯の元じゃないの?と思う人もいるだろうが、
スポーツによっては、歯を強く噛み締めるものもある。
そういう場合、歯と歯の間にガムがあることにより、
これがクッションとなり、歯をダメージから守ってくれるという。
同じような効果のあるマウスピースなどに比べると、
さすがに効果は落ちるものの、
歯へのダメージは、確実に減らしてくれる。

こういう風に書いてみると、
良いこと尽くめのように聞こえる。
これだけ良い効果があれば、
全てのスポーツ選手がガムを噛みそうであるし、
リラックス効果、集中力が増すというのであれば、
スポーツのみならず、勉強や趣味などにおいても
絶大な効果を表しそうである。
しかし、現実的にはガムを噛んでいるのは、
一部のスポーツ選手のみで、
それ以外の所では、ほとんど用いられることはない。
よく「眠気防止」を謳ったガムが販売されているが、
これにしても「ガムを噛む」ことによって
眠気を覚ますというよりは、
その刺激的な味によって、眠気をとばしてしまうものであるようだ。

噛むことによって、風味や口当たりを楽しむ菓子を
「噛み菓子」という。
「チューインガム」というのは、
「chew(噛む)」「gum(ゴム)」という意味であり、
ゴム質の基材に味や香りをつけたものである。
古くは古代ギリシャにて、乳香という木からとった樹脂を
嗜好品として噛んでいたという記録があり、
東南アジアやインドの各地でも、ビンロウの実を加工したものを
「噛み菓子」として用いている。

現在の「チューインガム」の、直接的な起源は、
中央アメリカ・マヤ族の、
サポディラという木の樹脂を固めて噛むという風習だ。
マヤ族の滅亡後、この風習はインディアンたちに受け継がれ、
1492年のコロンブスのアメリカ発見後、
この土地に渡ったスペイン人たちへと受け継がれた。
その後、1848年にアメリカ合衆国において、
パラフィンを使ったパラフィンガム
「スプールガム」が発売された。
パラフィンとは、「蝋」のことである。
このパラフィンガムには味がついておらず、
純粋に、「噛む」だけを目的としたものであった。
1860年には、サポディラの樹液を固めたものを、
「チクル」という名前で売り出した。
これにも味はついておらず、
1869年に「チクル」に甘味料や香料を加えたものが作られ、
1892年にはハッカを加えたガムが作られた。

日本には明治末期に、
アメリカ・リグレー社の製品が持ち込まれたが、
それまでに「噛み菓子」というものが無く、
人前で口を動かすことを好まなかった日本では、
全くといっていいほど売れなかった。
これが大きく変わったのが、戦後の進駐軍によってである。
アメリカ軍人の多くがガムを噛んでいるのを見たことから、
日本人の間にも急速に普及していくことになった。
ガムの消費量は順調に伸び続け、
2004年には年間46100tもの消費があったが、
これ以降は徐々に下がり始め、
2013年には30220tにまで落ち込んでいる。
それまでちょっとした空き時間に、ガムを噛んでいたものが、
スマートフォンの登場により、ガムの出番が減っているという。
ガムのライバルが、同じお菓子ではなく、
携帯電話であるというのは、ちょっと面白い話だ。

かつて書いたことがあるが、
自分は、これまでに何度も挑戦したものの、
ついに「風船ガム」を膨らませるのに、成功したことがない。
さすがにいい大人になってからは、
ガム自体を口にすることも少なくなり、
これに挑戦することもなくなってしまったのだが、
こればっかりは、いつまでたっても
自分のコンプレックスの1つである。

かつて、もう1つのコンプレックスの1つであった
「指パッチン」ことフィンガースナップを、
厳しい練習と、多くの人への聞き込み調査の結果、
ついに体得したことがあるが、
こちらの方に関しては、いまだ解決の緒も見えない。

非常に「アレ」な目標ではあるが、
生涯をかけて成し遂げたい、目標の1つである。

Related Articles:

にほんブログ村 その他生活ブログ 雑学・豆知識へ
にほんブログ村

スポンサーリンク
スポンサーリンク

-歴史, 食べ物

Copyright© Falx blog 2 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.