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植物 歴史

コスモス

更新日:

自分の住んでいるたつの市では、
何年か前から、休耕地でのコスモス栽培を始めている。

たつの市の郊外を車で走ってみれば、
結構な数の休耕地に、コスモスが満開になっている。
1面がピンク、白、赤紫の花で覆われ、
まさにコスモス畑といった風情である。

このコスモス畑は一般市民にも開放されていて、
何人もの市民が、写真を撮ったり、コスモスを摘んだりしている。
写真を撮るのは無料だが、コスモスを摘む場合は、
10輪いくらという感じで、
料金を払うことになっていることが多い。
大々的に「コスモス祭り」を開催している地区もあるが、
わりとあちらこちらでやっているのと、
休耕地で栽培しているという条件上、
毎年、同じ場所で行なうのはなかなか難しく、
毎年恒例のお祭りとして「コスモス祭り」を行なっている所は
意外に少ない。

コスモスは、キク目キク科コスモス属に属する、
草本の総称である。
その中でも、我々が「コスモス」をいう名前で認識している種は、
オオハルシャギクという。
漢字で書けば、「大春車菊」となるが、
あくまでもこれは「秋」に咲く花である。
秋に、桜のような花を咲かせることから、
「秋桜」と書くこともあり、
この場合、読みは「こすもす」となる。
「コスモス」の名前は、ギリシャ語で
「宇宙」「秩序」といった意味を持つが、
そこから転じて「飾り」「美しい」といった意味を
持つようになった。

基本的にはピンク色の花を咲かせるが、
品種改良により、白、赤、オレンジ、
黄色のコスモスも作られている。
この中の黄色のコスモスは、
1957年に玉川大学農学部育種学研究室で
偶然に生まれたものだったが、
この突然変異の株を20年以上かけて定着させることによって、
1988年に「イエローガーデン」という名前で発表された。
10年後の1998年には、さらに黄色さをはっきりとさせた
「イエローキャンパス」を発表している。
コスモスの1種であるキバナコスモスと混同されることがあるが、
これとはまた別の品種ということになる。
本来は秋になり、日照時間が短くなると
花を咲かせる性質を持っているが、
早咲き系の品種は日の長さに関係なく、
種子をまいてから50~70日後に開花する。
(ちなみに、この日照時間による開花の性質を利用したものに
 電照菊がある。
 これは電気による照明で菊の開花時期を調整するもので、
 戦前より行なわれている栽培法である。
 コスモスも菊も、同じキク科の植物のため、
 似たような性質を持っているのだろう)

コスモスの原産地はメキシコである。
高原地帯の標高1600~2800mほどの高地に自生している。
これが18世紀末に、スペイン・マドリードの植物園に持ち込まれ、
ここから種子が広く伝えられることとなった。
1799年にはイギリスに伝えられ、評判の草花となった。
コスモスが日本に持ち込まれたのは、
明治時代の中ごろのことである。
(1879年との説が有力である)
東京美術学校の外国人教師・ラグーザによって
イタリアから持ち込まれたとされる。
陽当たりと水はけが良ければ、痩せた土地でも生育するため、
栽培が比較的容易なことから、
明治末期には日本全国へと普及し、各地で栽培されるようになった。
その後、大正時代に入り、
コスモスの一種であるキバナコスモスや、
チョコレートの香りのするチョコレートコスモスなども、
日本へと持ち込まれた。

「秋桜」と書くことから分かるように、
俳句などでは秋の季語として用いられるが、
先に書いたように明治時代末期に一般的になったため、
比較的新しい季語ということになる。
一種の「景観植物」としての利用が多く、
河原や休耕田、スキー場などに植えられることが多い。
これらは観光資源として利用されることが多いが、
河原などで栽培するのは、在来の植生に影響を与えることもあり、
自然破壊であるといわれることもある。

基本的には、鑑賞されるだけのコスモスであるが、
じつは食べることが出来る。
食べられる部分は「舌状花」と呼ばれる部分、
いわゆる花びらの部分である。
この花びらを野菜サラダなどに散らすと、
春菊に似た香りと、爽やかな苦みが加わる。
その他にも、花びらを集めて茹でたものを使い、
ジュースやゼリーなどを作ることも出来る。
ジュースやゼリーは、作るのに手間がかかるが、
サラダに花びらを散らすのは、ほとんど手間がかからないので、
「コスモス祭り」などに出かけ、
コスモスを大量に入手してきた場合には、
ちょっと試してみるのも、面白いかも知れない。

特に栄養や薬効などがあるわけではないので、
あくまでも、料理に彩りと香りを加えるだけのものである。

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