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怪談〜仮面ライダー

更新日:

前回、特撮ヒーロー番組の中の「怪談」ということで、
「ウルトラ」シリーズを取り上げてみた。
今回は、「ウルトラ」と双璧を成す特撮ヒーロー番組、
「ライダー」シリーズの「怪談」を取り上げる。

しかし、「ライダー」シリーズの怪談というのは難しい。
何故なら「ライダー」そのものが、ホラー的な要素も含んでおり、
作中ではオカルトに近いことも、多々行なわれているからである。
「ウルトラ」に関しては、ヒーローが地球人ではないこと、
「SF」としての要素が強いからこそ、
その中に含まれている「怪談」は異彩を放っていたが、
もともとホラーで、オカルトな部分の大きい「ライダー」では、
ある意味、全てが「怪談」といっても過言ではないのだ。

これは第1作「仮面ライダー」では特に強調されていて、
1話のタイトルが「怪奇蜘蛛男」である。
ごく普通に「怪奇」を謳っているのである。
続く2話のタイトルは「恐怖蝙蝠男」。
今度は「恐怖」を謳っている。
まさにこれらは「怪談」そのものではないか。
「仮面ライダー」のサブタイトルの中で、
「怪奇」「恐怖」「怪異」などの言葉が含まれているものは、
17本ある。
「仮面ライダー」の全話数は98話なので、
実に17%ほどのタイトルに、
これらの言葉が含まれていることになる。
ただ、普段から「怪奇」「恐怖」「怪異」スタイルで
ストーリーを作っているため、
タイトルの中に「怪談」の言葉が出てくることは無い。
あらためて、「怪談」とつけるまでもない、ということだろうか?

続く「仮面ライダーV3」でも、
サブタイトルの中に「怪談」の文字は出てこない。
しかし「怪奇」「恐怖」などの言葉は結構出てくるし、
「仮面ライダー」の時には無かった
「呪い」というワードも使われている。
これらのワードが含まれるサブタイトルは9本で、
全話数52話に対して17%である。
「仮面ライダー」と全く同じである。
「V3」では、特にライダーのヒーロー性が強調されていたが、
「仮面ライダー」以来の「怪奇」「恐怖」ムードも、
しっかりと継承されていたわけである。

「仮面ライダーX」になると、
サブタイトルの中から「怪奇」の文字が消える。
代わりに出てくるのが「怖い!」と「おばけ!?」である。
かなり子供向けに噛み砕いた言葉になっている。
視聴者である子供を、強く意識した結果だろう。
つまり「怪談」ぽいタイトルワードは、
「恐怖」「怖い!」「おばけ!?」の3つということになる。
この3つのいずれかを含んだサブタイトルは8本。
全話数が35話なので、含有率が22%ということになる。
サブタイトルのワードチョイスから見ても、
明らかな子供向け路線に舵を切ったように見えるが、
それはどうも、「子供を怖がらせよう」という
スタンスだったのかも知れない。

ここら辺で、賢明な人なら気付いているかも知れない。
そう、「仮面ライダー」「V3」「X」と、
全話数が激減してきているのだ。
一番最初の「仮面ライダー」は、なんと98話も放映している。
これはほぼ2年近く番組が続いたことになる。
続く「仮面ライダーV3」では1年、
「仮面ライダーX」では8ヶ月ほどになっている。
シリーズが続くことによって、子供たちに「飽き」がきたのか、
それとも、あからさまな子供向け路線が
見透かされたのかはわからないが、
シリーズには低迷の兆しが見え始めている。

第4作「仮面ライダーアマゾン」になっても、
タイトルの中に「怪談」の文字は見当たらない。
サブタイトルの中のワードも「恐怖」という言葉が、
3回使われただけである。
全話数24話の中で、12%にしかならない。
この全話数24話という、異例の少なさに関しては、
放送局側の都合による所が大きく、
即、「アマゾン」の不人気とは言い切れないものがある。
そういう意味では、不遇な番組だったといえる。
ストーリー的には、日本語の話せない主人公を採用したり、
独特のスタイル、必殺技と数多くの新機軸を盛り込んでおり、
「怪談」的タイトルの数も、グッと少なくなっている。

続く「仮面ライダーストロンガー」で、
ついに第1期「ライダー」シリーズは終了することになる。
そしてここにきて、ついにタイトルの中に
「怪談」の文字が現れる。
17話「怪談 悪魔の復活祭」、18話「怪談 底なし沼」、
19話「怪談 呪われた古城」の3本である。
きっちりと夏に放映している辺りは、
「怪談」のお約束を守っているといえる。
さらにサブタイトルの中に「恐怖」「怪奇」の文字も見える。
ある意味、第1作「仮面ライダー」に回帰したともいえる。

しばらくの休眠期間を経て、新たに始まった「仮面ライダー」。
6作目の「ライダー」は、強く原点回帰を打ち出しており、
初期はスカイライダー1人の戦いが描かれたが、
20話を皮切りにして先輩ライダーたちが次々に客演、
賑やかな作品となった。
そして、この客演シリーズが終わった後、
「怪談シリーズ」と銘打った、シリーズが始まるのである。
その数なんと6本。
41話「怪談シリーズ・幽霊ビルのひみつ」、
42話「怪談シリーズ・ゾンビー!お化けが生きかえる」、
43話「怪談シリーズ・耳なし芳一999の耳」
44話「怪談シリーズ・呪いの化け猫 子供の血がほしい」
45話「怪談シリーズ・蛇女が筑波洋を呪う」
46話「怪談シリーズ・くだける人間!鏡の中の恐怖」である。
堂々の6話連続放映であり、
もちろん夏の時期のことである。
1ヶ月半も連続で「怪談」ものを見せられた子供たちは、
一体何を思ったのであろうか?

続く「仮面ライダースーパー1」には、
「怪談」のついたサブタイトルは無い。
前半の「ドグマ編」では「恐怖」や「怪奇」といった
「怪談」ぽいワードも少ないのだが、
後半の「ジンドクマ編」になると、これが増えてくる。
が、ここに大きな問題が1つ。
「ドグマ編」では、動物をモチーフとした怪人だったため、
それなりに怪人の怖さというものが表現出来ていたのだが、
「ジンドグマ編」では、日用品をモチーフにした怪人に
変更されてしまったため、
かなりユーモラスな怪人ばかりになってしまった。
「怪奇傘男」といわれても、怪奇感は全くないし、
「スプレー怪人の恐怖」といわれても、全く怖そうにない。
「恐怖のラジコン怪人」も間抜けな響きだし、
「怪奇イス人間」など、何が怪奇なのかさっぱりわからない。
全く怖くない怪人を、なんとか怖く見せようという
苦肉の策であろうか?
やはり、日用品などを怪人にしてみても、
全く怖くならないのだなぁ、と思わせてくれた。

「ライダー」シリーズでは、これ以降、
「怪談」が使われたことはない。
使われたことは無いものの、「仮面ライダーBlack」では
かなり視聴者の恐怖感を煽る演出がなされているし、
平成シリーズでも、異形である「怪人」の怖さを
前面に押し出した作品が何本もある。
「ライダー」シリーズにおいては、
いちいち「怪談」と銘打たなくても、
シリーズ本来の怪奇性を表現するだけで、
なまなかの「怪談」に引けを取らないだけの
「怖い」話を作ることが出来る。
製作陣がそれに気がついたとき、「ライダー」シリーズには
「怪談」は不要のものとなったのだろう。

「ウルトラ」にしろ、「ライダー」にしろ、
続くシリーズ展開の中で、日本古来の「怪談」に手を出し、
そして手を引いた。
恐らく、制作者側が思っていたほどには、
「怪談」の受けが良くなかったのだろう。
さもありなん、と思う。
自分が子供のころにしても、「ウルトラマン」や「仮面ライダー」に
「怪談」などを求めてはいなかったのだから。

「ウルトラ」や「ライダー」から、
「怪談」が無くなって、もう30年以上たつ。
ひょっとしたら、トチ狂った脚本家が再び新作で
「怪談」を持ち出すこともあり得ない話ではない。

なんといっても、次の仮面ライダーは「ゴースト」なのだから。

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