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太陽光発電と台風被害

更新日:

9月に入り、早々に2つの台風が日本を襲った。

台風17号と18号である。
幸い、自分の住んでいるたつの市は、その直撃を免れ、
被害らしい被害どころか、ちょっと雨が降るだけですみ、
我が家では台風になると起こる、雨漏りすら起こらなかった。
これは17号が、兵庫県の東をかすめるようにして
北上していったためで、
古来、台風の西側はあまり風も吹かず、
大きな被害は出ないのだが、
今回、我がたつの市は、運良くその範囲に入っていたのである。
さらに18号に関しては、関東地方を北上していったために
近畿地方には全く被害が出なかったのだ。

そんなわけで、まったく拍子抜けするほどに
被害のなかった17号、18号だったわけだが、
東日本に目を向けてみると、こちらとは比べ物にならないほど
甚大な被害を及ぼしていた。
茨城県常総市の鬼怒川と、宮城県大崎市の渋井川が決壊、
多くの家屋が破壊され、何人もの犠牲者を出した。
台風の進路次第によっては、
ひょっとしたらこちらに降り掛かってきていた
災害かも知れないわけで、
決して人ごとではない災害だったわけである。
事実、たつの市の防災マップには、
揖保川が決壊した場合(?)の浸水区域も記入されており、
揖保川を中心としたかなりの範囲が、
浸水区域になってしまっている。
なんとも笑えるのは、災害復興の拠点となるべき市役所や
消防署、警察署などが軒並み浸水してしまう点だ。
市役所をはじめとする、市の重要機関が
全て揖保川に近い場所に位置しているためで、
揖保川町支所も新宮町支所も揖保川沿いにあるために、
もし揖保川があちこちで決壊してしまえば、
たつの市はあっという間に機能不全に陥ってしまう。

なんともいえないのは、そんな状況であっても
我が家には全く水がやってこず、
全く普通の生活が出来てしまう点である。
我が家のみならず、揖西町の西の方には水が来ないので、
とりあえず、水道、電気が止まらない限りは、
全く不自由のない生活をすることが出来る。
(ガスは昔ながらのプロパンなので、止まりようがない)
家を建てた父親も、そんなことまで考えていたとは思えないが、
結果的には、非常に自然災害を受けにくい場所に、
マイホームを建てたわけである。

話を戻そう。
大雨によって、河川の堤防が決壊したらどうなるか、
その見本ともいえる状況になった今回の災害だが、
堤防決壊後、間を置かずしてこんな話が出てきていた。
曰く、堤防の決壊箇所には太陽光発電のパネルが設置してあり、
このパネルを設置するために堤防を削った、と。
だとしたら、この部分が決壊したというのも納得出来る。
メカニズムはこうだ。
堤防の外側を削って、そこにソーラーパネルを設置する。
その土を削った部分だが、
恐らくコンクリで塗り固めたりすることもなく、
そのまま土が露出している状態だったのではないだろうか?
そこに台風がきて、その影響による大雨が降る。
当然、堤防の内側、鬼怒川の水位は急激に上昇し、
やがて堤防を越えてしまう。
越水である。
堤防を越えた水は堤防の上を流れ、
やがて堤防の外側を流れ落ちる。
このとき、工事によって削られた堤防の内側は水の流れによって、
みるみる削られていく。
本来ならば、草木によって覆われ、
時間によって固められた地面は、
そう簡単に削れたりしないのだが、
その固められた部分を削り取られた箇所は弱く、
水の流れによって、恐ろしいほどの早さで削られていく。
堤防の外側を削られることによって、
堤防の強度はみるみるうちに低下していく。
やがて、鬼怒川の水圧に耐えられなくなった堤防は
まるで爆発でもするように崩壊し、
濁流は堤防外へと流れはじめるのである。

ここで問題なのは、全くの民間業者が
住民の命に関わる堤防という重要な箇所に
勝手に手を入れることが出来るという現状だろう。
もちろん、堤防を越えて水が溢れるほどの水害だったわけだから、
この箇所の堤防が決壊しなかったとしても、
どこか他の箇所が決壊していた可能性も高い。
そうなれば、どちらにしろ
今回のような規模の災害が起きていただろうが、
ひょっとしたら、堤防のどこも決壊せず、
越水により、川の側の土地を浅く広く浸水させながらも、
そのうちに水位が下がっていったかも知れない。
もしそうなっていたら、
川の両岸に被害は広がっていたかも知れないが、
今回のような極端な被害は出なかったはずである。
そうなっていれば、人的な被害も少なく、
建造物にしても壊滅的な被害は受けなかっただろう。
IFというのは、いくら言ってみても意味のないことだが、
どうすれば、今回ほどのの被害を受けなかったか?
そう考えたとき、堤防が切れず、
広い範囲で少しずつ浸水の被害を分けあって、
水が引くと同時に一気に被害を回復させるというのが、
一番ベストなシナリオだったのではないかと思う。
堤防の決壊は、そのベストシナリオを打ち砕いてしまったわけだ。
当然、民間業者による堤防の削り取りが、
堤防の決壊を招いたというのであれば、
件の民間業者と、それを許した行政の責任は
重いと言わねばなるまい。
仮に堤防が民間業者の持ち物であったとしても、
その管理を怠り、これを削って
今回の事態を引き起こしたのであれば、
間違いなく今回の災害の直接的な原因を作ったといえるし、
その責任を免れることはできないだろう。
また、常総市をはじめとする関係行政機関にしても、
治水管理がきっちり行なわれていなかったことに関して、
大きな責任があるだろう。

今回のことで、1つのポイントになっているのが、
「太陽光発電施設」である。
かつて、このブログの中で「太陽光発電」について取り上げた際、
山の斜面の山林を伐採してソーラーパネルを設置したり、
様々な生物の生息地となっているため池を埋め立てて
ソーラーパネルを設置している現状を取り上げ、
「太陽光発電」は、エコの象徴ではなく、
エゴの象徴になってしまっている、という風に書いた。
今回、堤防を削ってソーラーパネルを設置したものも、
はっきりいって人間のエゴイズムによる所が多い。
鬼怒川決壊の件以外にも、今回の台風では
山の山林を伐り開き、ソーラーパネルを設置した場所が崩れ、
土砂崩れ被害を出した所もある。
鬼怒川決壊も、この土砂崩れも、
安易なソーラーパネルの設置が引き起こした
人災であるともいえる。
堤防を削ってソーラーパネルを設置している所は
少ないかも知れないが、
山林を伐採してソーラーパネルを設置している所は
日本中にいくらでもある。
つまり、これから先、
大規模な土砂崩れ被害が頻発する可能性が
非常に高いということだ。
特に山林を伐採してソーラーパネルを設置した
太陽光発電所の場合、その規模が大きいことが多い。
大規模なものになると、里山の陽当たりのいい南斜面を
麓から山頂近くまで伐採して、ソーラーパネルを設置しているが、
これはそれだけの山林の地面を固めていた樹木と、
その根が取り去られてしまったことを意味している。
当然、大雨が降ればいとも簡単に地盤は崩壊し、
斜面は崩れ落ちて、大災害を引き起こす。
こういう危険性を持った太陽光発電所が、
すでに日本中に設置されてしまっているのである。

ここのところ、地球温暖化のせいか、異常気象なのか、
ゲリラ豪雨などと呼ばれる集中豪雨が起こりやすくなっている。
これから先、集中豪雨によって、山肌を伐採して作られた
太陽光発電所は、次々と崩れていくだろう。
国は、すぐにでも山林を伐採するソーラーパネルの設置を禁止し、
すでに設置されてしまったものに関しては、厳しくこれを検査、
土砂災害を引き起こす可能性のあるものに関しては
すぐさまこれを撤去して、植林を行なうべきだろう。
一度、伐採してしまっているので、やはり危険度は高いが、
それでもソーラーパネルを設置し続けるよりはマシである。
さらに、当該箇所が土砂崩れを起こした場合の被害地域を導き出し、
防災地図を書き換えて、これを周知しなければならない。

無造作に自然を破壊して、ソーラーパネルを設置した場所には、
これから先、ずっと土砂崩れ災害の危険がつきまとう。
自然からの、恐ろしい逆襲である。

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