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柿の種

更新日:

我が家の庭に植わっている、柿の木がピンチである。

我が家には、家の表と裏に、
それぞれ1本ずつ、柿の木が植わっている。
おととしは、どちらもしっかりと実をつけていたのだが、
去年は、表の柿の木には実がつかなかった。

原因ははっきりしている。
どういうわけか、まだまだ青い葉が
きれいに散ってしまったのである。
調べてみた所、どうやら病気に罹ったか、
細菌に侵されてしまったかのようであった。
冬を待たずして丸裸になってしまった柿の木は
痛々しかったが、別段、
木自体は枯れてしまうようなことは無く、
今年の春には、再び葉をつけ始めた。
ああ、今年はまた実をつけるのかな?と考えていたのだが、
どういうわけか実をつけない。
葉は、健康そのもので青々としているのだが、
実がつかないのである。
他所の家に植わっている柿の木には、すでに緑色の実がつき、
色づくのを待っているだけなのだが、
うちの柿の木は、実自体がつかなかった。

まー、去年はひどいことになっていたから、
まだ木自体が回復していないのかな?なんて考えていたのだが、
お盆を過ぎて、葉が減り始めた。
「散って」いるのではない。
「減って」いるのである。
どこから沸いたのか、小指の先ほどの大きさのムシがつき、
一斉に葉を食べ始めたのである。
こうなってしまうと、あっという間に
葉は食い散らかされて減っていき、
無惨な姿になってしまった。
小さな木であれば、手作業で虫を取り除くことも出来るのだが、
いかんせん、結構大きな木なのでそれも出来ない。
恐らくは蛾か何かの幼虫だと思うが、
いつの間に卵を植え付けられたのだろう。

なら、今年も柿の実がつくのは裏の木だけか、
なんて思っていたのだが、
なんということか、今年は裏の木にも実がついていない。
こちらの木の方は、別段、葉が散ったりすることも無く、
虫に葉を食い散らかされているようなことも無い。
木は全く健康そのものなのだが、
どういう訳か実だけがならないのである。
(花も咲いていなかったのかも知れないが……)
どうやら今年は、柿を食べることは出来なさそうである。

さて、「柿」といえば、1つ不思議だったことがある。
おつまみの定番、「柿の種」についてである。
この「柿の種」と銘打たれた菓子の名前の由来は、
ずばり「柿」の「種」に似ているから、
ということになっている。
ズバリ言ってしまえば、
本当に「柿の種」は「柿」の「種」に似ているのだろうか?
……。
いやいや、そんなの当たり前じゃん!という声が聞こえてくる。
しかし、こういってしまっては何だが、
我が家に植わっている「柿」の「種」は、
「柿の種」とは色も形も違っている。
「柿の種」は、細長く、わずかに曲がった小型のあられである。
表面はツルッとしていて、くすんだオレンジ色をしている。
それに対して、我が家の「柿」の「種」はどうか?
少なくとも形は細長くない。
平べったい所は「柿の種」と同じであるが、
「柿の種」のように細くはない。
どちらかといえば円板状であり、
ものによっては両端が尖っていることもある。
色に関しては、それこそ全く違っていて、
「柿の種」がくすんだオレンジ色なのに対して、
「柿」の「種」は、焦げ茶色である。
「柿の種」の一種で、
チョコレートでコーティングされたものがあるが、
まさに見た目はアレに近い色をしている。
本来のプレーンな「柿の種」は、「柿」の「種」の色というより
「柿」そのものの色をしている。
つまり、形にしても、色にしても、
「柿の種」は、まったく「柿」の「種」には似ていないのである。
これはどういうことなのか?

気になった自分は、インターネットの画像検索で
「柿」と「種」というワードで検索してみた。
様々な形をした、「柿」の「種」の写真が表示されたが、
少なくとも色に関しては、全てチョコレート色である。
ただ、形に関しては、「柿の種」と同じ細長いものが
いくつか存在していた。
ひょっとしたら「柿の種」は、
こちらのタイプの「柿」の「種」を
モデルにしているのかも知れない。

「柿の種」が、初めて作り出されたのは、
今からおよそ90年前の大正12年(1923年)のことである。
新潟県長岡市の製菓業・浪速屋製菓が作り出した。
小判型の煎餅の型をうっかりと踏みつぶしてしまい、
それが元に戻らなかったため、ひしゃげたままで型を抜いた。
その結果、出来上がったのが「あの」形の煎餅であった。
そのひしゃげた煎餅を得意先に見せたところ、
「柿の種に似ている」と言われたため、
それをそのまま、商品名にしてしまった。
現在では、ほとんどの「柿の種」にピーナッツが入っているが、
いつ「柿の種」にピーナッツを入れるようになったかについては、
2つの説がある。
ひとつは、帝国ホテルの酒場で、
サービスとしてナッツを出していたのだが、
なんとか日本らしさを出したいと考えて、
ピーナッツに「柿の種」を混ぜたというものである。
もうひとつは、亀田製菓の直売所で
創業者の妻が店番をしていた際、
並べて販売されていた「柿の種」とピーナッツを
一緒に食べてみたのがその始まりとする説である。
日本で初めて「ピーナッツ入りの柿の種」が販売されたのが、
1966年に同社から販売されたものなので、
この説にはそれなりに説得力がある。
ただ、当初の「ピーナッツ入り柿の種」、通称「柿ピー」は、
一度袋を開封すると、そのままピーナッツの油分の酸化が始まり、
味が劣化してしまっていたのだが、
1977年に、1食分ずつ小分け包装した商品を開発、
この問題を解決した。

2008年にはアメリカに進出。
「kakinotane」という名前で販売したのだが、
どうもアメリカ人たちには発音しにくかったらしく、
後に「kameda crisps(カメダ クリプス)」と改名している。
これが徐々に人気を得て、
現在、アメリカでは大ヒットとなっている。
「油で揚げていない」、
「小麦粉を使っていない(アレルギーにならない)」、
という理由により、一種の健康食品のように捉えているらしい。
「柿の種」が、果たして健康にいいのかどうかはわからないが、
アメリカ人の目から見れば、
米で出来たノンフライスナックは、健康的に映るのかも知れない。

自分は普段、アルコールを全く飲まないのだが、
地区の共同作業などに出た際は、参加者にビールが配られる。
そういう場合、ほとんどはコンビニかスーパーで、
小袋入りの「柿ピー」を買ってきて、
それをツマミにして飲むことになる。
ビールに合うのか?と改めて聞かれても、
普段、飲み慣れていないだけに、いかんとも答えられないのだが、
自分の感覚でいえば、「柿ピー」は
ビールでも、日本酒でも、ウイスキーでもいける、
いわば、無難なツマミである。

この辺りの懐の広さが、
「柿の種」が支持されている理由かも知れない。

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