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シャア専用

更新日:

By: TAK.

今月の初め、婆さんの葬式に出席すべく、
一路、愛知県瀬戸市へと向かっていたときのことである。

自分と弟の乗った車の前を、1台の赤い車が走っていた。
それだけなら、どうということのない話である。
長距離のドライブということになると、
助手席に座っていても暇を持て余すことになる。
必然的に、周りの景色や、走っている車をつぶさに観察し、
何か面白いものでもないかなと、探すことになるのだが、
そんな自分の目が、赤い車のエンブレムに止まった。
その赤い車には、黒地に黄色いラインで
「ジオン軍」のエンブレムが入っていたのである。

ほとんどの車のリア面には、その名前が入っている。
その車も、リア面の左やや下部に「AURIS」と入っていた。
これは「オーリス」と呼ぶ。
トヨタ自動車が販売していた車である。
そして、この「オーリス」という名前に聞き覚えがあった。
少し前に、インターネットにて、
「シャア専用オーリス」が発売される、というニュースがあった。
そう。
目の前を走っている車は、
その「シャア専用オーリス」だったのである。

この事実に、自分も弟も興奮した。
それほど数が作られたわけでもなく、
製作された車も、あっという間に売り切れたという。
オーリス恐るべしというべきか、
ガンダムマニア恐るべしというべきか。
いずれにしても、かなり珍しい車であることは間違いない。
しばらく後ろについて走っていたが、
やがて「シャア専用オーリス」は加速し、
弟の白い軽自動車を引き離した。
弟の軽は、「白い悪魔」にはなれなかったようである。

さて、今更こんなことを書くのもあれだが、
読んでいる人の中には、なんだよ「シャア専用」って?と、
思っている人もいるかも知れない。
ここでいう「シャア」とは、
テレビアニメ機動戦士ガンダムに登場したキャラクター、
シャア=アズナブルのことである。
主人公・アムロ=レイのライバルキャラクターである彼は、
ジオン軍のエースパイロットとして、アムロと激闘を繰り広げた。
シャアの搭乗するモビルスーツは、一様に赤くペイントされ、
「シャア専用○○」という名前で呼ばれていた。
赤というのは、彼のパーソナルカラーだったわけである。

そういう経緯もあり、ガンダムマニア相手に
様々な「赤い商品」が、「シャア専用」の名を冠して販売された。
先に書いた「オーリス」も、そういう商品の1つだったのである。
もちろん、シャアがアニメの中で
「オーリス」に乗った描写などなく、
あくまでも「シャア」が乗りそうなイメージで持って
製作された車である。
奇しくも、婆さんの葬式に行くために遠出した所、
このレアな車に遭遇したことになる。
婆さんのお導きというのは、さすがに言い過ぎだろうが、
しかし婆さんの葬式がなければ、
遭遇することがなかったのも事実である。

この「シャア専用」を謳った製品、
「オーリス」の他にも様々なものが作られ、販売されている。
それらをちょっと挙げてみよう。

・シャア専用 折りたたみ自転車
・シャア専用 ポテロング
・シャア専用 メッセンジャーバッグ
・シャア専用 学習帳
・シャア専用 グローブ
・シャア専用 スーツケース
・シャア専用 キャディバッグ
・シャア専用 灰皿
・シャア専用 クロック(置き時計)
・シャア専用 カミソリ(ひげ剃り用)
・シャア専用 USBメモリー
・シャア専用 手帳
・シャア専用 ゲームボーイアドバンス
・シャア専用 ノートパソコン
・シャア専用 DVDプレイヤー
・シャア専用 マウス
・シャア専用 携帯電話
・シャア専用 バイク
・シャア専用 ヘルメット
・シャア専用 カップヌードル
・シャア専用 アイスクリーム
・シャア専用 寿司
・シャア専用 温泉タオル

これでもか、というほど書いたが、
実はこれ以外にも、まだ「シャア専用」グッズは
存在しているのである。
あのシャアが折り畳み自転車に乗っているのは、想像し難いし、
シャアがポテロングを食べている姿も、想像できない。
シャアが学習帳でせっせと勉強し、
疲れたらカップヌードルの夜食だ。
温泉に入ったシャアが、専用のタオルを腰にまき、
シャア専用のアイスクリームを食べる。
ガンダムで作り上げてきたシャアのイメージが、
音をたてて崩れていく。

しかし熱心なガンダムマニアの中には、
これらの「シャア専用」グッズを漏らさず購入し、
これらに囲まれた生活を送っている者もいるのである。
(それも複数)

ちょっと前に、大阪の高槻で大衆演劇を見た話を書いたが、
その帰り道、高槻駅前でシャアを見た。
例の赤いスーツと、顔の隠れるヘルメットをかぶった彼は、
こちらの方に歩いてきて、1枚のビラを差し出した。
そのビラには「ガンダムバー」の場所と営業時間、
扱っているメニューが書かれていた。
あまりのことに、あっけにとられていると、
彼は別の通行人の方に歩いていき、ビラを手渡していた。
かつて連邦軍を震え上がらせた「赤い彗星」の、
あまり見たくない姿であった。

婆さんの「お別れ会」の最中、
「シャア専用オーリス」に遭遇したことを、従兄弟に話した。
従兄弟は笑いながら名刺入れを取り出してきて、
自分に見せてくれた。
赤く塗られたその名刺入れには
「シャア専用」の文字が入っていた。

もちろん、自分の従兄弟が「赤い彗星」なわけではない。

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