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ニセモノたち〜ウルトラ編

更新日:

最近の特撮ヒーロー番組ではどうか知らないが、
昔の特撮ヒーロー番組では、
「ニセヒーロー」というのは定番だった。

多くの特撮ヒーロー番組の場合、
30〜50話くらいのエピソードがある。
主人公や、それを取り囲むキャラクターたちの
設定が決められている中で、
それだけのエピソードを考えるのは、なかなか大変だ。
しかも特撮ヒーロー番組の場合、
ストーリー展開も、かなり制限される。
毎回、必ず新しい怪獣・怪人を出し、
番組の後半に、これらの敵と戦わなければならない。
そうでなければ、子供たちが見てくれないからだ。
そこまでガチガチに固められた中で、
少しでも変わったストーリー、
面白いストーリーを展開させようと、
脚本家たちは頭をひねるのである。

しかし、毎回毎回、斬新なストーリーを作り出せるものでもない。
そういう時は、いくつかの「定番ストーリー」を
使ってくるものである。
そんな「定番ストーリー」の1つが、ニセヒーローである。
ヒーローそっくりなニセモノに悪事を働かせ、
人々の混乱と、ヒーローの信用失墜を狙う、
なかなか効果的で、ずる賢い作戦である。
自分が見ていた特撮ヒーロー番組では、
わりと頻繁にヒーローのニセモノが登場していた。
今回は「ニセモノたち」ということで、
様々なニセモノたちを見ていこう。
第1回は「ウルトラシリーズ」のニセモノを見ていく。

まず最初は「ウルトラマン」に登場した、ニセウルトラマンだ。
これは第18話「遊星からきた兄弟」に登場した、
ウルトラマンのニセモノである。
凶悪宇宙人・ザラブ星人が化けていたのだが、
本物に比べて目が大きく、さらに吊り上がっていたり、
胸と腹に、本物にはない「黒いライン」が入っていたりする。
視聴者にもひと目でニセモノだとわかるように、
本物との違いを持たせたのだろう。
本物に比べると目つきが悪く、
ニセモノであるのは明らかなのだが、
劇中のキャラクターたちは、それに気付かない。
お前等、良く見ろよと、突っ込みたくなるが、
それに劇中のキャラクターたちが気付いてしまえば、
物語は成り立たない。
このニセウルトラマンが登場したのは夜だったので、
暗くて、細部の違いがわからなかった、とするのが、
無難な解釈ではないだろうか。
この目の吊り上がったニセウルトラマンは、
目つきは悪いものの、結構かっこいい所が面白い。

次は「ウルトラセブン」に登場した、ニセウルトラセブンだ。
第46話「ダン対セブンの決闘」に登場した、
侵略宇宙人・サロメ星人が作り上げた、
ウルトラセブンを模したロボットである。
顔などは非常に精巧に作られているものの、
どういうわけか、身体にはセブンにはないパーツが、
たくさん貼付けてある。
ロボットということなので、どうしても隠しきれなかった
機械部分かも知れない。
このニセウルトラセブン、
なんと本物のウルトラセブン(モロボシ・ダン)を捕え、
ウルトラビームの秘密を聞き出し、
それを実装して作り上げられた、完成度の高いロボットだ。
無理矢理秘密を聞き出した後、オリジナルのセブン(ダン)を
時限爆弾で殺そうとするのだが、
冷静に考えれば、ウルトラセブンを捕えて、
ウルトラビームの秘密を聞き出す余裕があるのなら、
さっさとセブンを殺害すればよかったのではないだろうか?
結局、時限爆弾の爆発前に逃げ出したダンがセブンに変身して、
ニセセブンを倒すのだが、
そもそもこの宇宙人の目的は何だったのか?
セブンを倒すにしても、地球を侵略するにしても、
もっとうまいやり方が、あったのではなかろうか。

次は「ウルトラマンA」に登場した、エースロボットだ。
第14話「銀河に散った5つの星」に登場した。
異次元人・ヤプールが作り上げた、
エースと同等の力を持つロボットだ。
やはり、顔などの完成度は高いものの、
身体には余計なパーツがゴテゴテついている。
これでは地球人に、ひと目でニセモノと見破られてしまう……、
と思ってしまいそうだが、
実はこのエースロボット、地球を襲わせるためのものではない。
ヤプールの作り上げた、対エース用ロボット「エースキラー」の
性能実証用やられロボットなのである。
だから実際には、地球上で暴れることもなく、
あっさりとエースキラーに破壊されてしまった。
しかし肝心のエースキラーは、エースに敗れてしまう。
(ウルトラ兄弟の助力あってのことだが……)
ヤプール曰く、エースと同等の力があるらしいが、
動きは遅く、ぎこちなかったので、
恐らく本物のエースと戦っても、
コテンパンにやられていただろう。
しかし、こんな噛ませ犬のようなロボットにも、
外見的完成度の高いロボットを造る所を見ると、
ヤプールは、存外、職人肌なのかも知れない。

次は「ウルトラマンレオ」に登場した、ニセアストラだ。
第38話「決闘!レオ兄弟対ウルトラ兄弟」と、
第39話「レオ兄弟 ウルトラ兄弟勝利の時」に登場した。
暗黒宇宙人・ババルウ星人が本物のアストラを捕え、
その姿に成り代わった。
このババルウ星人の驚くべきところは、
外見上、まったく本物と見分けがつかないほどの完成度で、
アストラに変身していたことだ。
(まあ、劇中人物のみならず、
 視聴者を騙さなければならなかったので、
 おかしな差異をつけるわけにはいかなかったのだろうが……)
アストラに化けたババルウ星人は、ウルトラの国に侵入、
ウルトラの星の軌道を制御していた、ウルトラキーを盗み出す。
ウルトラキーを持ったまま、
地球へと逃げるアストラ(ババルウ)。
ウルトラキーを盗まれたウルトラの星は暴走をはじめ、
地球に向かって移動を始める。
ウルトラの国のザルのような警備と、
キー1本で、暴走を始める構造的欠陥は気になるが、
ウルトラの星と地球に衝突の危機が迫る。
ウルトラ兄弟は、アストラからウルトラキーを奪い返すため、
地球に飛来、アストラをかばうレオと戦闘を始める。
明らかにアストラの行動はおかしいのだが、
なんせ見た目が完璧なために、誰もこれを見抜けない。
結局、ウルトラマンキングによって正体を暴かれたババルウ星人を
レオ兄弟が倒し、ウルトラキーも修復して事なきを得るのだが、
「相手を騙す」という、ニセモノのもっとも根源的な目的を、
ほぼ完璧に達成したニセモノであった。

最後は「ウルトラマンティガ」に登場した、
イービルティガである。
第44話「影を継ぐもの」に登場した。
ティガの秘密を解き明かしたマサキ・ケイゴが、
超古代遺跡にあった、
ティガとは別の石像と一体になったものである。
外見的には、全くティガに似ておらず、
形態も模様も、カラーリングも全くの別物である。
実際に、設定的にもティガのニセモノではないのだが、
このイービルティガが登場した瞬間、
GUTSの隊員は、一瞬ティガと見間違えた。
さらにイービルティガが町を破壊しはじめると、
これをニセモノ呼ばわりして、攻撃を始めた。
あからさまなほどに別物なのだから、ニセモノ呼ばわりは
イービルティガ本人も本意ではないだろう。
(そもそもイービルティガという名前自体、
 ティガ準拠でつけられている)
結局はかけつけてきた本物(?)によって、倒されてしまった。

さて、ここまで「ウルトラ」シリーズに登場した、
ニセモノたちを5つほど紹介した。
もちろん、これは「ウルトラ」シリーズに登場した
ニセモノの全てではなく、
これ以外にも多くのニセモノが存在している。
「ウルトラ」シリーズでも、新しいものでは
外見的な差異が、全くないものも多い。
これはニセモノを使ったストーリーがメジャーになったため、
わざわざ視聴者にわかりやすい「サイン」を作らなくても、
視聴者がニセモノと認識するようになったためだろう。
いわば、視聴者のレベルが上がった証拠だ。

この「ウルトラ」シリーズでは、
これからも多くのニセモノが登場してくることが予想される。
あからさまなニセモノ、本物と変わらないニセモノ。
これに続く、新たなニセモノ像を
作り上げることができるだろうか?

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