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イルカ

更新日:

前回、世界動物園水族館協会(WAZA)が、
和歌山県太地町のイルカ追い込み漁で捕獲したイルカを購入し、
ショーなどに使っているという理由で、
日本動物園水族館協会(JAZA)の会員資格を
停止したという話を書いた。

結局、日本動物園水族館協会(JAZA)は、
世界動物園水族館協会(WAZA)のいうことを聞き入れ、
以降はイルカ追い込み漁で捕獲したイルカを使わないことを条件に
会員資格の停止を撤回してもらったのだが、
結局、太地町で行なわれているイルカ追い込み漁の
どこが残酷だったのかという点については、
はっきりと示されることはなかった。
日本側としては、かなり不満の残る結果になったため、
これ以降も色々と軋轢が生じそうである。

それはともかくとして、
前回は、この「イルカ問題」についての意見を中心に書いたため、
「イルカ」そのものについては、あまり書くことが出来なかった。
今回は、その辺りを書いていきたい。

さて、今回問題になった和歌山県太地町だが、
場所的には紀伊半島南端から、やや東側に存在している町だ。
今回は、イルカの追い込み漁でその名を聞くことになったが、
本来はクジラの町として、その名を知られている。
自分も子供のころに家族旅行で一度行ったきりなのだが、
山と海に挟まれた、小さな町だったという記憶しかない。
「クジラ」という特徴がなければ、
本当に日本中どこにでもある、平凡な漁港にしか見えない。
件の「イルカ追い込み漁」は、
現在、日本においてはこの太地町でのみ行なわれている。
2013年の記録によれば、
この年、日本が獲ったイルカの総数は2832頭で、
このうち1239頭が、太地町のイルカ追い込み漁で
捕獲されている。
漁獲総量の40%以上は、この太地町の追い込み漁にて
捕獲されている計算になる。
ちなみに残り60%ほどのイルカは、
「突きん棒漁」と呼ばれる方法で捕獲されている。
これは、泳いでいるイルカに銛を突き刺す方法で、
パッと聞いた感じでは、追い込み漁より
よほど残酷なように聞こえる。
「追い込み漁」の場合は、イルカを生きたまま捕獲して
そのまま水族館などに販売することも出来るが、
「突きん棒漁」の場合、イルカは必ず死んでしまうため、
こちらは100%食用等の利用に回される。
(ただ、「追い込み漁」にしても、
 一度捕獲されたイルカは、ひどく衰弱してしまっているので、
 その後、放流されても生きていけない、とする見方もある)

イルカは、クジラ類ハクジラ亜目に属する種のうち、
比較的小型の種のものの呼称である。
日本では全長4mを境に、
これより大きければクジラ、小さければイルカという分類になる。
(もちろん、若干の例外はあるが……)
ほとんどの種は海に生息しているが、
一部、カワイルカ類は淡水の河川などに生息している。
一見、魚のような形をしているが、れっきとしたほ乳類であり、
えら呼吸ではなく、肺呼吸にて呼吸している。
魚類との大きな違いは、その尾びれのつき方で、
魚類の多くは垂直方向の平べったい尾びれを、左右に動かすが、
イルカたちは水平方向の平べったい尾びれを、上下に動かす。
もちろん魚類でないため、その表皮に鱗はなく、
肌はツルツルである。
体重の割合からいうと、脳の占める割合が非常に大きく、
全ての動物の中でも、人間に次ぐ大きさである。
そのためか、古くからイルカは
高い知性を持っているとされて来た。
高い周波数を持つパルス音を発し、
離れた場所にいる仲間ともコミュニケーションをとるが、
人間のような「いじめ行為」を行なうこともある。
ただ、実際に彼らの知能がどの程度なのかは、
未だに解明されていないことが多く、まだまだ研究を要する。

日本では、8000年前の縄文時代の貝塚から、
イルカの骨と、それに刺さった
黒曜石の石器が出土していることから
そのころから、食用にして来たものと考えられている。
骨に石器が刺さっていた所から考えるに、
現在でいう所の「突きん棒漁」に近い漁法だったのかもしれない。
捕えたイルカに関しては、
食用の他、肥料などにされることもあった。
現在でも、イルカ漁をしている地域では、
イルカの肉がスーパーなどで販売されていることがある。
本来、イルカは魚ではないので、
「鮮魚コーナー」にイルカ肉が並んでいるのはおかしいのだが、
クジラ肉と同様に「鮮魚コーナー」に並べられている。
かつてはイルカも「魚」と考えられていた時代の名残か、
あるいは、他の鮮魚と同じく、
魚市場へと水揚げされるからかはわからないが、
かつてはクジラ肉と称したイルカ肉が
販売されていたこともあった。

イルカ肉の評判について、ネットの意見を調べてみると、
「美味しい」という意見と、「マズい」という意見が、
両方存在しており、
どちらかといえば「マズい」という意見の方が多い。
「美味しい」としている意見を発している人は、
もともとイルカを日常的に食べている地域の意見に多く、
そこから考えてみると、肉に独特のクセがあり、
調理方法にコツがいるのではないかと、思われる。
「イルカ肉」について、画像検索をかけてみると、
ほとんどのイルカ肉が、ドスの利いた赤黒い肉である。
黒くツルツルの皮膚の下には、白い脂肪の層があり、
そのさらに下が、例の赤黒い肉となっている。
ただ、写真で見る限り、
いくつかは赤黒くないイルカ肉も存在していることから、
(マグロの赤身に近い色である)
しっかりと血抜き処理をすれば、
クセも少なくなるのかも知れない。
価格はそれほど高くはないようだ。
食べてみた感想の中に、
「もの凄くケモノ臭い」というものがあった所から見ると、
やはりイルカは魚類ではなく、
ほ乳類なのだなと思い知らされる。
魚肉と混同して考えてしまいがちだが、
イノシシやシカなどの、野生動物に近いのかも知れない。
主に、大和煮や唐揚げ、
立田揚げやステーキなどにして食べられるが、
どの調理法にしても、その臭みを感じさせないようにするのが、
ポイントであるようだ。

現在、クジラを食べることに関しては、国際的な反発も強いが、
不思議なことに、イルカについてはそれほどでもない。
可愛らしさ、愛らしさという点からすると、
クジラよりもよほど、強い反発が起きそうではあるが、
そうなっていない所は、なんとも不思議な話である。

ひょっとしたら、そのうちに「反捕イルカ運動」が
始まったりするというのも、考えられない話ではない。
一度食べてみたいという人は、
そうなる前に食べておいた方が、いいだろう。

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