雑学、雑感、切れ味鋭く、思いのままに。

Falx blog 2

植物 雑感、考察 食べ物

グミ

更新日:

かつて住んでいた借家の庭に、1本のグミの木があった。

こういう風に書くと、
え?あのお菓子の「グミ」って、木になるものなの?
と考える人もいるだろう。
もちろん、お菓子の「グミ」は、
果汁をゼラチンで固めたお菓子なので、
自分が書いているグミとは、全く関係がない。
グミと呼ばれる木があり、それにはグミの実がなるのだが、
これがやたらと「ウマそう」な木の実なのである。

……。
「ウマい」ではなく、「ウマそう」である所が問題だ。
もちろん、グミの実は普通に食べることができる。
食べることができるのに、「ウマい」ではなく「ウマそう」。
そう。
こう言いきってしまっては何だが、
グミの実は、サクランボにも似た形態と、
目にも鮮やかな赤色、
そして1本の木に鈴生りになっているという、
いかにも「ウマそう」な外見とは裏腹に、
なんとも微妙な味なのである。

グミは、グミ科グミ属に属する植物の総称である。
常緑、または落葉の低木で、つる性のものも存在する。
グミは、種類によって開花時期も、
実をつける時期も違ってくるが、
自分が今回、書いているのは、
その中の「ナツグミ」についてである。
サクランボを縦長にしたような実がつき、
サクランボと同じように、柔らかい果肉の中に種が入っている。
味は甘味こそあるものの、酸味が強く、渋みもある。
実の色は、サクランボよりも鮮やかな赤色で、
そんな実が鈴生りになるものだから、
果実のついているグミの木は、非常に見栄えがする。
逆に花は、どちらかといえば控えめな白色で、
木に一杯に花が咲いていても、それほど強い印象を受けない。
4〜5月にかけて花が咲き、
6〜7月にかけて実をつける。
先に書いた通り、甘味はあるものの酸味が強く、
渋みもあるので、生のままではそれほど食べられない。
逆に酸味を生かして、ジャムなどに加工すると、
美味しいグミジャムができる。
グミの実、というのはスーパーや八百屋などでも扱っておらず、
調べてみた限りでは、ネット通販でも買えそうにない。
この現代において、ネットを使ってなお、
購入が困難な商品というのは、かなり珍しいといえる。
グミの木の苗は、ネット通販の他にも、
ホームセンターの園芸コーナーでも販売しているので、
グミの実を食べたい、という場合、
これを買って来て、庭に植えるのが手っ取り早い。
(食べれるようになるまでに、数年ほどかかるが……)

グミは50〜70種ほどが現存しており、
それらが、ユーラシアから東南アジアにかけて分布している。
自分が書いている「ナツグミ」は、
日本が原産国であり、他にも何種類か、日本固有のグミがある。
果実は採れるものの、商業的には全く流通していない。
ただ、苗木は販売もされており、
庭木などとして植えられていることが多い。
「グイミ」というのが、元々呼ばれていた名前で、
「グイ」は刺のこと、「ミ」は実のことをさしており、
この「グイミ」が縮まって「グミ」になったとされる。
え、じゃあ、「グミ」って、刺の実ってことなの?
と思ってしまいそうだが、
もちろん、実には刺などはない。
刺があるのは茎の方なので、
グミの実を収穫する際には、
これで怪我などしないように気をつけよう。

さて今回、「グミ」について
書いてみようと思ったのには理由がある。
ちょうど1年ほど前に、家の裏に生えている南天の横から
グミの木らしきものが生えて来たのである。
家の裏で、影になってしまうこともあり、
掘り起こして、どこか陽当たりの良い所に
植え替えようかとも思ったのだが、
グミの木の根を傷つけないように掘り起こすためには、
横に生えている南天を、
ほとんど切ってしまわなければならない。
さすがにそれは面倒だったので、
近くに生えている南天を数本だけ切って、
そのまま放置しておいたのだが、
わずか1年ほどの間に、かなりの大きさになってしまい、
いよいよ手に負えなくなって来た。
先に書いたように、時期的には花が咲いていても
おかしくない季節なのだが、今年も花はついていない。
本当に「グミの木」なのかどうか、
少々疑わしくなっているのだが、
木の様子を見る限りでは、
昔に見た「ナツグミ」に酷似している。
恐らくは、どこか他所で「グミの実」を食べた鳥が、
近くの南天の枝か、柿の枝に止まって糞をして、
その種が発芽したものと思われる。
これが本当に「グミの木」で、
そのうちに「グミの実」がなるのであれば、
このまま、南天を取り除いてもいいのだが、
「グミの木」ではなく、実も期待できない木であるならば、
南天の邪魔にならないように、切り倒してしまわねばならない。

陽当たりの良くない、家の裏手に生えている木は、
どれも開花時期などが、遅くなる傾向にある。
陽当たりが悪い分、気温が上がらないからだろう。
もうしばらく様子を見て、
「グミの木」かどうか、判断しなければならない。

できることならば、しっかりと実のつく「グミの木」に育て上げ、
あの微妙な味の実を、もう一度食べてみたいものである。

Related Articles:

にほんブログ村 その他生活ブログ 雑学・豆知識へ
にほんブログ村

スポンサーリンク
スポンサーリンク

-植物, 雑感、考察, 食べ物

Copyright© Falx blog 2 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.