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カラス

更新日:

たつの市の中心部に「龍野新大橋」という橋がある。

揖保川に架かっている橋で、
たつの市民が日常的に利用している橋でもある。
毎朝、学生たちは自転車でこの橋を渡り、
勤め人たちは車やバイクでこの橋を渡る。
南北に流れる揖保川を、東西に渡るこの橋には、
歩行者や自転車が通行する「歩道」が、南側についている。
多くの歩行者や自転車が、ここを通って橋を渡っており、
日中であれば、ほとんどいつも、
誰かが橋を渡っていると思っていい。

当然、自分も自転車でこの「龍野新大橋」を渡るのだが、
ちょっと前から気になっていることがあった。
この橋の下、東側では
河原にテニスコートや駐車場が整備されているのだが、
西側は特に何も整備されていない。
川岸からすぐに石の転がっている河原になっており、
この河原には何本もの木が生えている。
この木の中の1本、橋にもっとも近い場所にある1本に、
枯れ枝を寄せ集めて作った、「鳥の巣」があるのだ。
かなり雑な作りの巣で、パッと見た感じでは
川が増水したときに、
木の枝にゴミの塊が引っかかったようにも見える。
実際、それがただの「ゴミの塊」なのか、「鳥の巣」なのかは、
はっきりとはわからなかったのである。

だが先日、いつものように、この橋の上を自転車で渡っていると、
件の「ゴミの塊」の上に、カラスが1羽、うずくまっていた。
帰りに同じように橋の上を渡ったときも、
やはり同じようにカラスが1羽、うずくまっていた。
なんのことはない。
あの「ゴミの塊」はやはり、「鳥の巣」だったのである。
もちろん、カラスの座っている下を覗いたわけではないので、
そこに「卵」があるのかどうかは不明だが、
巣の上で動かずに、じっとしている所を見ると、
恐らく、現在、卵を温めているのだと思われる。
毎日、橋の歩道を渡っている人の中には、
この「鳥の巣」に気付いている人も、結構いるだろう。

カラスはスズメ目カラス科カラス属に属する、鳥類の総称である。
カラス属に属しているカラスの種類は多いが、
日本でもっとも目にするのは、
ハシボソカラスとハシブトカラスの2種類である。
この2種類は留鳥であり、1年中日本に住んでいるが、
カラスの中には渡り鳥として、
冬になると日本へと渡ってくる種もいる。
北海道のワタリガラス、九州のミヤマガラスや
コクマルガラスなどが、渡り鳥のカラスである。
鳥類の中でも、もっとも知能が発達しているとされており、
ある程度の社会性を持っている。
4色型色覚で色を識別でき、
人間と同じRGB(レッド・グリーン・ブルー)に加えて、
紫外線も識別できる。
視覚が非常に発達している反面、嗅覚はほとんど効かない。
つまり臭いに非常に鈍感なのである。
よく、カラスがゴミ収集所を荒らし、
生ゴミを食べたりすることが問題になっているが、
この場合も、袋の中にある「色」に反応して袋を破いており、
臭いに関しては全く感知していない。
従って、袋をしっかり縛って、
臭いが外に漏れないようにしたとしても、
カラスに対しては全く効果がない。
逆に透明や半透明のゴミ袋などは、
カラスの発達した視覚にとって、非常に荒らしやすいともいえる。
ただ、紙袋のように中の見えない袋や、
黒いビニール袋に入ったゴミも、
やはりカラスによって荒らされることがある。
これはカラスが臭いを感知しているわけではなく、
「そういう袋の中に、生ゴミや食料が入っていることがある」
ということを、カラスが学習した結果にすぎない。

食性については雑食性で、
先に書いたように人間の出した生ゴミや、動物などの死骸、
昆虫類や小動物、果物や植物の種子、
さらには畑で農作物を食べることもある。
一般的にハシブトカラスは動物食傾向が強く、
ハシボソカラスは植物食傾向が強い。
繁殖期は春から夏にかけてで、
一夫一妻制で、協力して子育てを行なう。
この点は人間に似ている。
(もっとも人間の場合は、必ずしも
 男女協力して子育てしているとは限らないので、
 そういう意味では、カラスの方が
 進んでいるといえるかも知れない)
巣を樹上に作り、そこで産卵し抱卵する。
巣は小枝などを使って作られるが、
それ以外に、針金やプラスチックなども巣材に使用する。
電柱や送電塔に巣を作るカラスもおり、
しばしばショートの原因になっている。

先に書いたように、鳥類の中で
もっとも知能が高いといわれるほどなので、
時々、人間の想像を上回る行動を起こすことがある。
いくつか例を挙げてみよう。

・硬くて自分の嘴の力では食べられないものを、
 高い所から落として壊したり、
 道路の上において、車に踏みつぶさせることがある。
・都市部に住むカラスの中には、
 嘴と足の指を使い、水道の蛇口をひねって水を飲むものがいる。
・JRに巣を壊されたカラスが怒り、線路に置き石をした。
 (のちに敷石の下に隠していた食料を取り出した際、
  取り除いた石を、たまたま線路の上に
  おいただけだったことが判明した)
・火のついたロウソクを加えて運び、放火した。
 (のちにロウソクを食べるために持ち去った際、
  火が消えておらず、落ち葉などに
  燃え移っただけだったことが判明した)

カラスの大きな特徴として、「道具」を使うという点がある。
これは道具を自作するという意味ではなく、
人間の使っている道具を利用する、という意味である。
上の例でいうと、自動車という道具を使って
硬い木の実を割ったり、
水道の蛇口を使い、水を飲んだりしている。
チンパンジーやニホンザルなどの一部には、
簡単な道具を使いこなす個体がいることが知られているが、
カラスの知能は、これに匹敵しているともいえる。

この高い知能のためか、昔からカラスは
「神の使い」とされることがある。
日本でいえば、神武天皇の道案内をしたのが、
3本足の「八咫烏(やたがらす)」である。
この「八咫烏」は、日本サッカー協会の
シンボルマークにもなっている。
この他にも、熊野三山の御使いとされたり、
修験道などでも「神の使い」という扱いを受けている。
これは何も日本に限ったことではなく、
世界中で同じような例を見ることが出来る。

そんなカラスであるが、その「死」に関して、
とんでもない説が囁かれている。
カラスの死体をあまり見ないのは、
UFOがやってきて、
これを持ち帰っているからだ、という説だ。
……。
UFOである。
わからないこと、理屈に合わないことがあると、
すぐにUFOを持ち出してくる人間がいるが、
もちろんこれは戯言にすぎない。
少なくとも、こんなアホな説を言い出す人間は、
カラスより知能が低いのかも知れない。

さて、延々とカラスについて書いてきたが、
「龍野新大橋」傍の木に営巣しているカラスは、
卵を温めていると見て、まず間違いないだろう。
通常、20日前後で卵は孵化し、
さらに20日ほどで雛は巣立ちを迎えるはずだ。

何事もなく、無事に巣立ってくれることを祈るのみである。

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