雑学、雑感、切れ味鋭く、思いのままに。

Falx blog 2

未分類

平成のヒーロー~仮面ライダー

投稿日:

前回、平成ウルトラシリーズの第1作、「ウルトラマンティガ」について書いた。

今回は同じ視点で、ライダーシリーズについて書いていく。

前回、少し触れたが、年号が昭和から平成に変わった時、

ライダーシリーズは「仮面ライダーBlack RX」を放映中であった。

これは放映開始時期が、昭和であったため、昭和、平成の分類では

昭和ライダーということになっている。

それでは、平成ライダーの第1作目とは?

それが「仮面ライダークウガ」である。

「仮面ライダークウガ」の放映が始まったのは、平成12年のことである。

区切りとしては、昭和・平成というより、

西暦2000年ということで作られた、仮面ライダーであった。

この「クウガ」以降、現在放映中の「鎧武」まで、平成ライダーシリーズは

途切れることなく放映され続けている。

平成ウルトラシリーズ同様、この平成ライダーシリーズも、

それまでとは違った新機軸を、取り入れていた。

最大の変更は、仮面ライダー=改造人間という、設定を無くしたことである。

もともと仮面ライダーは、悪の組織に改造された人間が、

自分を改造した悪の組織と戦う、というのが、基本的なパターンであった。

しかし「クウガ」では、この設定をあっさりと捨て去った。

古代遺跡から出土した、古代戦士のベルト「アークル」と同化することにより、

主人公は変身能力を手に入れるのである。

物語後半には、「アークル」がその浸食度合いを深めていくという描写もあり、

その点では、改造人間とはまた違った、不気味さがあった。

さらに従来のシリーズと大きく違っていたのは、

仮面ライダーと警察が、協力して怪人退治にあたっていたことである。

それまでのシリーズでは、インターポールの捜査官が協力したことはあったが、

「警察」という組織そのものが、仮面ライダーと共闘したことは無かった。

だが、この「クウガ」では、「未確認」と呼ばれる異形の怪人たちに、

警察組織が立ち向かっていたのである。

それまでの、警察ですら知らない悪の組織に、

ライダーが1人で戦いを挑むという、現実的には無理のある設定を無くし、

怪人たちを一種の害獣と捉え、これを警察を戦わせたのである。

この設定を取り入れることにより、ストーリーはぐっとリアルさを増した。

また、敵についても、大きな変更がなされた。

従来の、世界征服を企む悪の組織ではなく、

古代より蘇った異種族という、一種の異生物集団だった。

それまでのシリーズと違っていたのは、この「未確認生命体・グロンギ」は、

ゲームとして、人間を殺害していたということだ。

そこには、世界を征服するなどといった目的意識は無く、

それぞれが申告したルールに従って、ただ人間を殺していくだけの集団だった。

故に、単純な暴力で人間を殺害するだけでなく、

車で轢いたり、高所から突き落とすなどして、人間を殺すこともあった。

なんともリアルで生々しい殺し方であり、

また動機の点でも、完全に人間を殺害対象としてしか捉えていないという、

怖さ、恐ろしさがあった。

そんな敵に立ち向かったのは、オダギリジョー演じる、伍代雄介だ。

古代人の変身ベルト「アークル」を身につけ、

戦士「クウガ」に変身する能力を手に入れた。

「仮面ライダーBlack RX」で取り入れられた、タイプチェンジも駆使して

「未確認生命体・グロンギ」に戦いを挑んだ。

ただ、それまでの主人公と違い、普段は全くといっていいほど、

怒りの感情を表に出さない、穏やかな青年だった。

たとえ人を守るためといえども、拳を振るうことについて、

「いい気持ちはしない」と嫌っていた。

そんな彼とタッグを組んで、「未確認生命体」に立ち向かったのが、

刑事・一条であった。

未確認生命体合同捜査本部に派遣された一条刑事は、

最初、一般人である雄介が「未確認生命体」と戦うことを渋っていたが、

雄介の決意を知り、彼の協力者となっていく。

「未確認生命体」の捜査だけでなく、自らも銃をとり、これと戦った。

雄介とは固い信頼関係で結ばれており、彼が最後の戦いに赴く時も、

自らバイクを駆り、同行した。

第1作「仮面ライダー」における、滝和也と2号ライダーの役目を、

まとめて引き受けたようなキャラクターだった。

ストーリーは基本的に、2話で1エピソードというペースで進んでいく。

つまり、1時間ドラマを前編、後編で見せられているペースだ。

充分に時間を取っているため、ひとつひとつのエピソードが細かく、

丁寧に描かれている。

上記した2人以外にも、脇を固めるキャラクターたちのエピソードが、

これでもかというくらいに、詰め込まれている。

無論、ストーリーの芯にあるのは、「未確認生命体」との戦いなのだが、

それと戦う人たち、あるいは襲われる人たちの背景が描かれる。

基本的なことだが、そこがきっちりと描かれているので、

ストーリーに厚みがあった。

先に書いた通り、主人公・伍代雄介は、ほとんど怒りの感情を表さない。

しかし例外的に一度だけ、恐ろしいほど怒りをむき出しにしたことがあった。

ヤマアラシの怪人、ゴ・ジャラジ・ダのエピソードだった。

この怪人は、ある高校の、あるクラスの生徒たちの頭に、

自らの体の一部である針を打ち込み、一定時間が経つとその針が変化して、

死に至らしめる、というルールでゲームを行なった。

生徒たちは、いずれ自分が死ぬことがわかり、死の恐怖で追いつめられ、

ついには自殺者が出るまでに到る。

この怪人は、そんな被害者の苦しむ姿を見て喜ぶという、

かなり最悪な怪人だった。

この怪人の、あまりの残酷さに、雄介の怒りは爆発する。

普段とは全く違うテンションで、怪人を圧倒する。

倒れた怪人の上に馬乗りになり、怪人の顔を怒りに任せて殴りつける。

顔の形が変わるほどに殴られ、血まみれになる怪人。

必死で逃げる怪人を追いつめ、剣でメッタ切りにして倒した。

「クウガ」がここまでの怒り狂ったのは、この時だけだった。

着ぐるみである、ライダーには基本的に表情というものが無い。

だから、そんなライダーの怒りを表現するには、

全てその動き、アクションで表現するしかない。

この話では、それが見事に表現されていた。

この「仮面ライダークウガ」は、平成ウルトラと同じく、

全くの新機軸で作られた作品だった。

「仮面ライダー」から「仮面ライダーBlack RX」までが、

ひとつの共通した世界であったのに対し、

この「クウガ」ではその流れを切り、まったく新しい世界であった。

恐ろしいことに、作品の中では最終回に到るまで、

一言も「仮面ライダー」という単語は、出てこない。

この作品の中で「仮面ライダークウガ」という言葉が出てくるのは、

オープニングテーマのサビの部分だけだ。

それ以外は、ただ「クウガ」と呼ばれているだけだった。

「仮面ライダー」という言葉を使わずに、作られた「クウガ」。

そこには従来のシリーズとは決別するという、強い意志があった。

その意志こそが、平成ライダーシリーズを作り出したのである。

Related Articles:

にほんブログ村 その他生活ブログ 雑学・豆知識へ
にほんブログ村

スポンサーリンク
スポンサーリンク

-未分類

Copyright© Falx blog 2 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.