雑学、雑感、切れ味鋭く、思いのままに。

Falx blog 2

特撮、テレビ 雑感、考察

鉄人28号

投稿日:

By: Nikita

現在、ロボットアニメといえば、
ロボットの中にパイロットが乗り込んで、
これを操縦するものが主流だ。
ガンダムも、マジンガーも、
エヴァンゲリオンも「そう」である。

しかしロボットの中に乗り込んで操縦するという設定は、
「マジンガーZ」によって作り出されたもので、
それ以前のロボットは、
自分で勝手に動き回る
「自律型ロボット」がほとんどであった。
鉄腕アトムやドラえもんなどは、まさにこのタイプである。
この辺りの「ロボット観」は、
それまでのSF作品などで用いられてきた、
「ロボット」=「自律型ロボット」という観念を
そのまま取り入れて作られている。
そう、そもそものロボットは、
自分自身の人工頭脳で物事を判断し、
その判断によって動く、一種の生物のようなものだったのだ。
だからこそ、SF作家アイザック・アシモフは、
「ロボット3原則」を提唱したのである。

この「ロボット3原則」は、
・ロボットは人間に危害を加えてはならない
・ロボットは人間に服従しなければならない
・ロボットは自分自身を守らねばならない
の3つの原則であり、ここに書いた3つの条件は
上から順に優先度が高い。
ただ、この3原則を見る限り、
あくまでもこれは、
ロボットに判断能力があることを前提にして作られている。
鉄腕アトムでは、この「ロボット3原則」が
「ロボット法」と名前を変え、
アトムの行動に制限をかけることもあった。
新生物「ロボット」と、それを生み出した「人間」との
地位の違いを明確に打ち出したもの、
それが「ロボット3原則」なのである。

当然のことながら、自らの意志を持たない、
自らの行動を自ら判断しないロボットにとっては、
この「ロボット3原則」は全く意味をなさない。
車や飛行機と同じ、「機械」としてのロボットは、
人間に操作されることによって、初めて動くことが出来る。
その行動にはロボット自身の判断は存在せず、
あくまでも人間に操作される「人形」にすぎない。
日本における、こうした「人形」型ロボットの代表が、
先に書いた「マジンガーZ」であり、
その先駆けこそが、「鉄人28号」である。

「鉄人28号」は、1956年に
横山光輝によって描かれたマンガだ。
太平洋戦争末期、大日本帝国陸軍によって
密かに開発されていた巨大ロボットが、戦後に現れる。
この巨大ロボットこそ「鉄人28号」であった。
この「鉄人28号」を操ることの出来るリモコンを巡って、
主人公・金田正太郎と悪の組織が対立。
苦難の果てにリモコンを入手した正太郎は、
「鉄人28号」とともに、
犯罪組織との戦いに挑むのである。

このストーリーを見てもわかるように、
「鉄人28号」は、自らの意志を持つロボットではなく、
リモコンの操縦によって動く、ただの人形である。
当然、悪者にリモコンを奪われて操作されると、
途端に「悪のロボット」として、
主人公に襲いかかってくる。
アニメ化された時のオープニングテーマの中にも、
「良いも、悪いも、リモコン次第」
「敵に渡すな、大事なリモコン」と、
この点を強調するフレーズがある。
この、操作するものによって神にも悪魔にもなりうる
というのは、後の「マジンガーZ」の中でも語られた。
まさに後のロボットアニメブームの、
基礎を作った作品といえるだろう。

この「鉄人28号」、
日本のロボットアニメブームの基礎を作った作品だけに、
実に5回もアニメ化されている。
え?そんなに何度もアニメ化されているの?
と驚かれるかもしれない。
「シリーズ」としてではなく、
「リメイク」という形で、
これだけアニメ化されたロボットアニメは、
他には存在しない。
(正確にいえば、3回目のアニメ化作品
 「超電動ロボ 鉄人28号FX」はリメイクではなく、
 第1作の後の時代を描いた、「シリーズ」作品である)

1963年に作られた、アニメ第1作目は白黒作品である。
全84話が作られ、最高視聴率36%を記録した。

この17年後、
第2作「太陽の使者 鉄人28号」が作られる。
これは第1作のリメイクであり、
ストーリー、デザイン、ともに
時代に合わせたアレンジが施されていた。
第1作目では、四角い箱に
レバーが2本ついただけのリモコンだったものが、
アタッシュケースに内蔵された、
専用コントローラーへと変更され、
スイッチやモニターなどが追加された。
当時、流行っていたロボットアニメの影響だが、
操作が複雑化している辺り、インタフェースとしては
低レベルなものになったようである。

1992年に作られた「超電動ロボ 鉄人28号FX」は、
第1作の後の時代を描いた、唯一のシリーズで、
主人公も正太郎ではなく、彼の息子・正人である。
このシリーズの特徴は、
新しい鉄人28号と一緒に、旧鉄人28号も登場し、
新旧2体の鉄人の共演が見られることだ。
新型鉄人28号は、現代風にアレンジが施され、
リモコンも音声入力になるなど、技術的進歩が見られた。
(ただし、旧鉄人が空を飛べるのに対し、
 新鉄人は飛行メカと合体しなければ空を飛べなかった。
 これは明らかに機能の低下だ)

2004年には、3回目のリメイク作が作られる。
(アニメ化としては4回目である)
第1作目をモデルにしつつも、
ストーリーはオリジナルのものであった。
しかし鉄人28号のデザインは、
数あるリメイク版の中でも、もっともオリジナルに近い。

そして現在、第5作目である
「鉄人28号ガオ!」が放送中である。
こちらはこれまでのリメイクとは違い、
キャラクター全てが可愛らしくポップなデザインに
変更されており、1話5分ほどの
ショートアニメになっている。

さて、当然のことであるが、
鉄人28号は架空のキャラクターである。
だが、JR新長田駅南側、若松公園内には
直立時の設定が18mにも及ぶ、
鉄人28号のモニュメントが設置されている。
これはほぼ、実寸大の鉄人模型といっていい。
公園の真ん中で、雄々しいポーズをとる鉄人。
原作者・横山光輝が神戸出身であることから、
地域活性化のシンボルとして製作されたのである。
今ではすっかり長田の名所となって、
見物客を楽しませている。

この巨大な鉄人28号。
もちろん、自由に手で触ることも出来るが、
これに攀じ登ることは禁止されている。
鉄人はマジンガーと違って、
攀じ登っても操縦席は存在しない。

ぐれぐれも危険な真似は止めよう。

Related Articles:

にほんブログ村 その他生活ブログ 雑学・豆知識へ
にほんブログ村

スポンサーリンク
スポンサーリンク

-特撮、テレビ, 雑感、考察

Copyright© Falx blog 2 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.