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もうひとつの「G」

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日本の怪獣映画で「G」といえば、ゴジラである。

ゴジラは、日本の生み出した最初の怪獣であり、
ここから様々な怪獣映画、怪獣番組が派生した。
平成のゴジラ映画では、ゴジラに対する組織で、
「Gフォース」なんてのもあった。
この「G」とは、もちろん「ゴジラ」の「G」である。
野球界のミスターGといえば、長嶋茂雄だが、
怪獣界のミスターGといえば、当然、ゴジラなのである。

……。
これは多くの怪獣ファン、又は日本国民の認める所である。
しかし、その中にわずかに
「いや、怪獣界のミスターGはゴジラじゃない」
とする一派もいる。
それが「ガメラ」ファンである。
彼らは「G」といえば、「ガメラ」と主張する。
確かに「ガメラ」も頭文字は「G」になる。
そういう意味では、
彼もまた「ミスターG」ということになる。
もちろん、ガメラファンもわかっている。
「ガメラ」自体、もともとは
「ゴジラ」の大ヒットを受けて作られた、
「ゴジラ」からのひとつの派生シリーズに過ぎないことを。
だから「ガメラ」を「G」と称するのは、
やっぱりちょっと恐れ多いのかなー、
なんて風に考えたりもする。
それでも「ガメラ」ファンにとっては、
やはり怪獣界のミスターGは「ガメラ」なのである。

先に書いたとおり、「ガメラ」は
「ゴジラ」シリーズの大ヒットを受け、
これに続けとばかりに製作された。
1954年に「ゴジラ」が上映され、
これに遅れること11年、
大映が製作した怪獣映画である。
すでに「ゴジラ」シリーズでは、
第6作目にあたる「怪獣大戦争」が上映された年だ。
TVシリーズ「ウルトラマン」の放映が始まる、
おおよそ1年前である。
すでに10年に渡り、「ゴジラ」シリーズが上映され、
その人気も確かなものになっていた時代である。
2匹目のドジョウを狙うにしては、
やや参入が遅すぎるようにも思える。
しかし、この遅すぎるように思えた怪獣映画への参戦は、
意外に上手く時流に乗り、
劇場版の怪獣シリーズでは、
「ゴジラ」シリーズに次ぐ人気シリーズとなった。

「ゴジラ」シリーズの人気にあやかって、
様々な怪獣映画が製作されたが、
シリーズ化されるほどに成功したのは、
「ガメラ」シリーズくらいである。
(これ以外だと、「大魔神」シリーズが3作品、
 製作されているのみである。
 平成モスラシリーズも3作しか製作されなかった。
 3作というのは、
 怪獣映画にとって大きな「壁」であるらしい)
なぜ、他の怪獣映画と違い、
「ガメラ」シリーズは、
成功を収めることが出来たのだろうか?

改めてガメラを見てみると、
なかなか突っ込みどころ満点な怪獣である。 
まず「カメ」である。
「ゴジラ」が、原始の恐竜をモチーフにしたのに対し、
「ガメラ」は、おおよそ怪獣には不向きと思われる
「カメ」をモチーフにしている。
なぜカメを?という疑問が拭えない。
現在でこそ、外来種である凶暴なカミツキガメなどが
一般にも知られているが、
「ガメラ」が上映された1965年には、
まだまだカメの持っているイメージというのは
平和なおとなしいものであった。
(せいぜい、スッポンが噛みついたら離れない
 くらいのものである)
それを大怪獣のモデルにしようというのだから、
大胆な発想と言わざるを得ない。
「ウサギとカメ」の童話でも見て取れるように、
カメというのはのろまで鈍重であるが、
地味でマジメなイメージであったのだ。
それがいきなりの大怪獣である。

もちろん、これ以外でも設定はぶっ飛んでいる。
口から火炎放射するのはまだしも、
すっくと二本足で立ち、
悪の怪獣たちと肉弾戦を繰り広げる。
カメが肉弾戦である。
しかも、あろうことかこのカメ怪獣、
首と手足を引っ込めて、そこからジェットを噴射、
回転しながら空を飛ぶのである。
カメが空を飛ぶ、という時点でマトモな発想ではない。
一体どんな頭をしていれば、
こんな設定を思いつくのか?
ひょっとして酔っていたのか、
ヒロポンかなにかで
頭がパーになっていたのではあるまいか?

しかし、このわけのわからない設定を
山ほど盛り込まれた「ガメラ」は受けた。
「ゴジラ」と違い、「子供の味方」という
一種のヒーロー性をもたされたガメラは、
正義の味方として、悪の怪獣と戦うことになる。
(ゴジラも「正義の怪獣」となるが、
 4作目までのゴジラは、明らかに「悪役」として
 配役されていた)
ストーリーも子供向けにアレンジされ、
登場人物の中にも積極的に「子供」が配された。
(どういうわけか、外国人の子供が多く、
 大方の場合は日本人の子供と、
 外国人の子供のペアという形態が多かった)
こうして「ゴジラ」との明確な違いを打ち出した
「ガメラ」シリーズは人気を得て、
8作品が作られたのである。
(もっとも8作目の「宇宙怪獣ガメラ」は、
 それまでの映画を再編集して作られた
 オムニバス映画であったが……)
第1作「ガメラ」から
第7作「ガメラ対深海怪獣ジグラ」までは
1年に1本のペースで新作が作られていたが、
第8作「宇宙怪獣ガメラ」については、
7作目より8年間の間をおいて製作されている。
そしてこの8作目が、ガメラの第1シリーズ最終作となった。

「ガメラ」の第2シリーズが始まったのは、
それから15年後の1995年のことである。
第1シリーズと全く関係のない、
完全なリニューアルシリーズとして3作品が作られた。
この3作品は、これまでの怪獣映画とは一線を画した
リアリティの追求と、CGも使った迫力の映像で、
新たなファンを取り込むことに成功。
「平成ゴジラシリーズ」に対して
「平成ガメラシリーズ」と称され、
その評価も高い傑作である。

この「平成ガメラシリーズ」3作目、
「ガメラ3~邪神覚醒」でシリーズは終了したが、
その7年後、単発で
「小さき勇者たち~ガメラ」が製作された。
これは、昭和シリーズとも平成シリーズとも繋がりの無い、
全く新しい映画であったが、
シリーズ化される事はなかった。

シリーズ累計12作品。
一方ライバルである「ゴジラ」シリーズは28作品と、
圧倒的な差がついているが、
日本の「怪獣」シリーズで、
これだけの数を出しているのはこの2シリーズだけである。
「ゴジラ」についてはその人気は世界的で、
海外でも2作品、「ゴジラ」が作られているが、
「ガメラ」については全くそういう話を聞かない。
さすがに外国人には、「カメ」をモチーフにした怪獣は
理解され辛いのかもしれない。
そういう意味では、日本に特化した「怪獣」ともいえる。

前作の「ガメラ」シリーズが上映されて、約10年。
そろそろどこからか
「新作」の噂が聞こえてこないものか。

ファンとしては、朗報を待つばかりである。

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