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花粉症

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毎年、この季節になると
スギ・ヒノキの花粉情報が天気予報で流れるようになる。

花粉が多い、少ないなどの情報に、
花粉症患者は一喜一憂する。
花粉の飛散量が多い、ということになると、
「げぇぇ~」と、この世の終わりのような顔になり、
花粉の飛散量が少ない、ということになると、
「ほっ」と胸をなで下ろす。
しかし、実際の所、花粉が多かろうが少なかろうが、
憂鬱なことには変わりはない。

かく言う自分も「花粉症」である。
本来なら、医者にかかり、
しっかりと診察してもらった方がいいのだろうが、
自分の症状は、正直、鼻風邪などと
ほぼ変わらない程度なので、
特に医者にかかったりするようなことはしていない。
何年かに一度、かなりキツい年があるのだが、
風邪みたいなものだと思って、諦めている。

一般的にいう「花粉症」とは、
季節性のアレルギー性鼻炎である。
アレルゲン(原因物質)によって引き起こされる
アレルギー性鼻炎はふたつあり、
ひとつは「花粉症」に代表される、
季節性アレルギー性鼻炎、
もうひとつは「ハウスダスト」などによって
引き起こされる、通年性アレルギー性鼻炎である。
この通年性アレルギー性鼻炎は、
ただアレルギー性鼻炎と呼ばれることが多い。
こちらは、アレルゲンは一年中存在しているので、
環境を改善しない限り、
状況は良くならないことが多い。

季節性アレルギー性鼻炎は、
そのまま「花粉症」のことを
さしていると思っていいだろう。
植物が空気中に放出する「花粉」が
アレルゲンになっているので、
環境自体の改善がほぼ不可能ではあるが、
植物が「花粉」を飛ばす期間は限られているので、
その時期を過ぎれば、症状は回復する。
アレルゲンになる花粉として有名なのは、
スギ、ヒノキ、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、
シラカンバなどである。
かつてはセイタカアワダチソウなども、
アレルゲンのひとつではないかと考えられていたが、
セイタカアワダチソウは空気中に花粉を飛ばさず、
虫を介して花粉を受粉させる「虫媒花」であるため、
これが「花粉症」の原因になることはない。
日本では約60種類の植物が、
「花粉症」を引き起こすとされている。

現在、日本人の25%が「花粉症」であるといわれているが、
その主な症状としては、鼻水、鼻づまり、くしゃみなど、
鼻に関係してくるものの他にも、
目のかゆみ、涙、充血といった目の症状、
のどのかゆみ、皮膚のかゆみなど様々なものがある。
鼻にくる症状などは、風邪などの症状と似通っているので、
軽度な花粉症の場合、本人も気づいていないこともある。
そう考えれば、数字以上に「花粉症」の人間が
存在している可能性はある。

「花粉症」のメカニズムは、
風によって空気中に放出された、スギやヒノキの花粉が、
鼻や目を通して人体に侵入した時、
人間の身体が「これ」を
異物と判断するかどうかによって決まる。
「これ」を異物と判断しないかぎりは、
「花粉症」が発症することはない。
だが、ひとたび身体が「これ」を異物と判断した場合、
身体は抗体を作り、「これ」を排除しようとする。
くしゃみで身体の外に吐き出す、
鼻水や涙で洗い流す、
鼻づまりを起こし、身体の中に入れないようにする、
などという症状はすべて、
花粉を体外に排出しようとするための行為なのである。
つまり、身体が「花粉」を異物と判断しなければ、
どんなに花粉を吸い込むことがあっても、
「花粉症」は発症しない。
逆に一度でも、身体が「花粉」を異物と判断してしまえば、
その人は「花粉症」の症状を発症し、
その先、花粉が飛ぶたびに
「花粉症」の症状を発症するようになるのである。
この点は、食物アレルギーと同じである。
体質により、「なりやすさ」に差はあるものの、
基本的には全ての人に「花粉症」の危険はある。

この「花粉症」が、いつごろから起こっているかは、
明らかではない。
ただ、紀元前500年くらいの古代ギリシャや、
ローマ帝国時代、紀元前100年くらいの中国の記録に、
「花粉症」と思わしき記述が見つかっている。
それによると、春先になると鼻水や鼻づまりが増えるらしい。
現代人の感覚からすれば、
これはいかにも「花粉症」の様に見えるが、
症状が風邪にも酷似しているため、
本当に「それ」が花粉症だったのかどうかは、わからない。

日本では1960年代に入るまで、
「花粉症」という概念は存在しなかった。
だが、1960年代に入ると、
ブタクサ、カモガヤ、スギ、ヨモギなどの花粉による、
「花粉症」が報告されはじめる。
現在では、「花粉症」といえば、
スギ花粉ということになっているが、
我が国における「花粉症」の初期は、
ブタクサの花粉が原因と思われる「花粉症」が多かった。
その後、スギ花粉症患者は一気に増えていき、
やがて「花粉症」=「スギ」ということになった。

だが、冷静に考えてみると、
スギもヒノキもはるか古代から
日本に存在していた「木」である。
花粉も出していたはずである。
当然、そのころから花粉症は
存在していてもおかしくはない。
が、不思議なことにそのようなことは一切いわれない。
これは花粉の量に関係しているのでは?とも、
花粉に付着している、化学成分に関係しているのでは?
ともいわれている。

戦後、増える住宅需要を見越し、
山に大量のスギやヒノキが植樹されたが、
これらが成木になり、花粉を出すようになる時期と、
「花粉症」患者の増えた時期というのは、
かなり似通っているのである。
さらに花粉への化学成分の付着に関しては、
こういう風にも考えられる。
戦後ほどではないにせよ、スギやヒノキの植樹し、
これを育てて木材とする林業は、
すでに12世紀ごろからはじめられていた。
もし、「花粉」のみが「花粉症」の原因になるのであれば、
この林業従事者の間では
「花粉症」が起こっていたはずである。
しかし、少なくとも日本においては
それを示す資料は見つかっていない。
また、日本で「花粉症」患者が増え始めたのは、
自動車排ガスなどによる、
大気汚染がひどくなってからである。
これら空気中にまき散らされた化学成分が「花粉」に付着し、
その「花粉」を「有害」と身体が判断することによって、
「花粉」そのものが有害であると
身体が誤認するようになるのかもしれない。
だとすれば、大気汚染が進む前の日本では
「花粉症」がなかったというのも納得できる。
とはいえ、現在の日本では、
つねに化学物質の付着している「花粉」が漂っているので、
はっきりとどちらかに原因を求めるのは難しい。
恐らくは、この両方の理由が複合することによって、
戦後の「花粉症患者」激増が起こったのだと考えられる。

実は、この記事を書いている現在も、
微妙に目と鼻がムズムズとしている。
先に書いた通り、花粉症は一種のアレルギーである。
アレルギーは一度なってしまうと、治ることはない。

今年の「これ」も、風邪でもひいたと割り切って、
付き合っていくしかないようである。

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